【追悼】「こんなに小さく…」西田敏行さん、報道陣も沈黙した検視後の“無言の帰宅”…“ものまね好き”の素顔も

 

 突然の訃報だった――。

 

 10月17日、俳優・西田敏行さん(享年76)が東京都内の自宅で亡くなっていたことが報道された。西田さんは、1980年にドラマ『池中玄太80キロ』(日本テレビ系)の主演に抜擢されブレイクを果たすと、1988年に始まった映画『釣りバカ日誌』シリーズや、2012年から放送されたドラマ『ドクターX~外科医・大門未知子~』(テレビ朝日系)などの話題作に多数出演。歌手としても『もしもピアノが弾けたなら』をヒットさせ『紅白』に出演するなど、歌手と多岐にわたって活躍した。

 

「17日に、付き人による110番通報があり、警察が自宅に駆けつけて、亡くなったのを確認しました。その後、西田さんのご遺体は事件性の有無などを判断するために、行政施設に運ばれました。18日の午後3時過ぎ、ようやくご遺体が自宅に戻ってきました。また死因は虚血性心疾患とのことです」(同前)

 

 

 駆けつけた報道陣の前で、ストレッチャーで自宅内に運ばれる西田さん。現場は、シャッター音だけが響いていたという。

 

「だれも言葉を発することはできませんでしたね。まさに国民的な俳優でしたから。生前は身長166cmでありながら体重80kg超と存在感のあるお姿でしたが、こんなにも小さくなって……と、現場にいた関係者は全員絶句していました。本当に残念です」(芸能記者)

 

 生前は仕事終わりに若手スタッフを誘って飲みに行き、店にいた客とも気さくに言葉を交わす人だったという。

 

「いつも楽しく愉快な宴席でした。お酒が進むとまわりを楽しませたい、というお気持ちから西田さんのものまねショーが始まりました」(大手広告代理店関係者) 

 

 十八番は『釣りバカ日誌』で共演した西田さんの“師匠”三國連太郎さんのものまねだ。

 

「大先輩の豪快な逸話を、その方の仕草や声色をそっくりそのまま演じるんです。忘れられないのは、映画『復讐するは我にあり』で三國さんが露天風呂で倍賞美津子さんの爆乳を揉みしだく伝説のシーンの再現。悪ノリがエスカレートして、三國さんがオッパイを揉んでいる手つきから倍賞さんが喘いでいるところまで二役でやってくれました」(同前)

 

 映画、ドラマでの活躍の裏で、近年は体調面を心配されていた。西田さんは、2016年に自宅のベッドから転落して首を痛め、頸椎亜脱臼の手術を受けたものの、術後に胆のう炎を発症し、再手術を受けることになった。こうした状況を受けてか、現場では“お触れ”が出ていたようだ。

 

「5、6年ほど前から『西田さんを長時間、歩かせるシーンは控えるように』という指示が出されていました。

 

 実際に、2022年に出演したNHK大河ドラマ『鎌倉殿の13人』でも、座っている場面がほとんどでした。無理をして撮影に参加していたわけではなく、自分のできる範囲で仕事をしていたのでしょう」(テレビ局関係者)

 

じつは、本誌は2021年放送のドラマ『俺の家の話』(TBS系)で能役者を好演していた西田さんにインタビュー取材を申し込んでいた。だが、「出演したいのですが、西田は長時間のインタビューに耐えられる体調ではありません。今回は見送らせてください」と、所属事務所から丁寧な断わりの連絡がきた。

 

 10月8日、映画『劇場版ドクターX FINAL』の完成報告会見が、西田さんの最期の仕事になった。

 

「今思えば、米倉涼子さんや内田有紀さんら、ほかの出演者が立って写真撮影するなか、西田さんは椅子に座ったままでした。それでも、米倉さんや報道陣に対し、いつものような軽口を叩き、周囲を笑わせるなど元気そうに見えたのですが…」(前出・テレビ局関係者)

 

 最期まで周囲を楽しませる役者として、生きたのだった。

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