『西園寺さんは家事をしない』またもプライドが高い不愛想イケメンかと思いきや、SixTONES・松村北斗がマンネリ打破の新パターン

 

 SixTONES・松村北斗が演じるシングルファーザー。ラブコメ作品の不愛想イケメンにおいて、“当たり前” のことができるのが意外と珍しかったという、新鮮なパターンになっている。

 

 7月23日(火)に第3話まで放送されている松本若菜主演『西園寺さんは家事をしない』(TBS系)。

 

 主人公の西園寺一妃(松本)は、アプリ制作会社のプロダクトマネージャーとしてバリバリ働く38歳・独身。明るくコミュ力が高いタイプで、「やりたいことをやる、やりたくないことはやらない」という主義で、家事は絶対しないと決めている。

 

 

 すでにマイホームを購入し、悠々自適な “家事ゼロ” おひとりさまライフを満喫していた彼女の前に、転職してきたアメリカ帰りの天才エンジニア・楠見俊直(松村)が現れる。無口で無愛想、ロジカル思考で協調性もない楠見だが、実は1年前に妻を亡くし、4歳になる娘・ルカと暮らすシングルファーザーだった。

 

 そして、ひょんなことから西園寺の家で楠見とルカも暮らすことになり、「偽家族」として共同生活を送ることになり――というストーリーだ。

 

■インテリなイケメンはクセ強でプライドが高い?

 

 松村演じる楠見は、いわゆる変わり者のエリートイケメンで、こういったラブコメ作品における定番キャラ。“定番” と言えば聞こえはいいが、数々のドラマに類似の特徴を持ったイケメンはごまんと出てきており、要するに食傷気味のキャラカテゴリーである。

 

 しかし、楠見は大枠のカテゴリーで言うとマンネリなキャラなのだが、ある特徴によって、これまでのエリートイケメンとは一線を画している。

 

 その特徴とは、素直に謝罪できるということ。

 

 ラブコメ作品におけるインテリなイケメンと言えば、クセ強でプライドが高く、素直に「ごめんなさい」「すみません」が言えないという幼稚な性格が多かった。学校のお勉強はできたり仕事は優秀にこなしたりするものの、精神年齢は低くて社会性が欠けているというのが、なかばフォーマット化されていた。

 

 それゆえ、ヒロインに対して「余計なお世話だ」「俺に干渉するな」なんて高慢な態度を取り、ことあるごとに衝突・対立。しかし、そうやっていがみ合っているうちに、次第に惹かれ合っていき……というのが、お決まりのパターンとなっており、正直、飽き飽きしていた。

 

■かなり珍しい、素直に謝罪できるエリート

 

 けれど、楠見はその定番パターンを打破し、“ちゃんと謝罪できるエリートイケメン” という、新鮮なアプローチを見せてくれる。たとえば第1話だけでも、楠見の謝罪シーンがたびたび挿入された。

 

「先日の会議では開発側の立場としての発言しかせず、申し訳ありませんでした」

 

「ご迷惑をおかけしたうえに厚かましいお願いなんですけども、娘のこと、会社には秘密にしていただきたくて。申し訳ありません」

 

「ダメです、僕はダメな親なんです。それを認めたくなくて、意地になっていたんだと思います。本当に申し訳ありませんでした」

 

 こんなふうに、何度も何度も西園寺にきちんと謝罪をしているのだ。

 

 第3話では、あまりに謝ってくるものだから、深々と頭を下げてくる楠見に対して西園寺が、「ていうか、それやめない? なんていうか、こういうときは『すみません』じゃなくて、『ありがとう』にしない?」と提案。

 

 楠見も納得して、西園寺に「ありがとうございます」と伝え、信頼の絆が深まるというハートフルなシーンもあった。

 

■松村北斗演じる楠見の新たな魅力が発掘されるか

 

 自分の非を認めて謝罪をする。一般社会ではごくごく常識的なことだが、登場人物の個性が誇張されがちなラブコメにおける不愛想イケメン枠で、その “当たり前” のことができるキャラはほぼ皆無だった。楠見は一周まわって、固定観念を打ち破る珍しいキャラになっているのである。

 

 ――今夜放送の第4話。西園寺が楠見のことを恋愛的に意識するエピソードが描かれるようなので、松村演じる楠見の新たな魅力が発掘されることも期待して観ていきたい。

堺屋大地

恋愛をロジカルに分析する恋愛コラムニスト・恋愛カウンセラー。これまで『女子SPA!』『スゴ得』『IN LIFE』などで恋愛コラムを連載。現在は『文春オンライン』『現代ビジネス』『集英社オンライン』『日刊SPA!』などに寄稿中

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