「最悪、人が死ぬ」「やめるべき」『24時間テレビ』やす子のチャリティーマラソン中止を医師が実名で緊急警告、市民ランナーの熱中症リスクとは

 

 7月16日、お笑いタレント・やす子が、『24時間テレビ』(日本テレビ系)のチャリティーランナーを務めることが発表された。

 

「『24時間テレビ』ではおなじみのチャリティーマラソンですが、今年は『全国の児童養護施設に募金マラソン!』と名づけられ、寄付の目的が限定されました。

 

 高校時代に児童養護施設に入所していた経験のあるやす子さんは、『恩返ししたい』という思いで参加するそうです。同時に日テレは、やす子さんと一緒に『チャリTシャツ』を着て走る約1000名の市民ランナーを募集しています。

 走行距離は3~5kmで、高校生以上の “ランナーの思いに賛同してくださる方” が条件だそうです」(芸能記者)

 

 2023年に発覚した『24時間テレビ』の寄付金横領事件が影響し、現在、同番組には逆風が吹き荒れている。好感度の高いやす子を起用することで、なんとか批判の声を跳ね返そうとする同局だが――。

 

 

「今回の24時間テレビチャリティーマラソンはやめるべきだと思います」

 

 と語るのは、五良会クリニック白金高輪理事長・五藤良将医師だ。自身も市民ランナーとしてマラソンに挑戦した経験のある五藤医師は、「熱中症の危険性を、軽視すべきでない」と警鐘を鳴らす。

 

「やす子さんには、トレーニング中も専門家のサポートがあると思いますが、参加する1000人の市民ランナーの方は、やす子さんのように恵まれたサポート体制で走るわけではないでしょう。

 

 たとえ短い距離であったとしても、その間に熱中症による事故が起こる可能性があります。特に28度以上の気温では、熱中症のリスクが高まり、31度以上では運動自体を禁止することが推奨されています。

 

 夏場は、脱水症状を防ぐために水分補給が必要であることはみなさんもご存じかと思いますが、高温多湿な環境で運動する場合、さらに別の危険性が生じます。

 

 運動中は、筋肉組織への血流増加と熱放散のため、皮膚への血流が増加し、心臓に戻る血液の量が減少します。すると、今度は、内臓の血管が収縮し、心臓への血液の戻りを確保するように体が調節するんです。

 

 しかし、マラソンのような強度が高い運動を高温多湿の環境で続けると、この調節がうまくできなくなり、循環器系や中枢神経の機能不全を引き起こし、最悪の場合、死に至ることもあるんです」

 

 もしも夏場にマラソンのような強度の高い運動をする場合、徹底的な準備が求められるという。

 

「私は東京マラソンにも出場したことがありますが、ふだんからのトレーニングとともに食事や体調管理をおこない、レース中には休憩や水分補給を計画的におこなっています。

 

 こうした管理がなにより重要であり、チャリティーマラソンに参加する市民ランナーの方々にも適切な対策を講じることが必要です。総務省消防庁によると、7月8日から7月14日の1週間だけで、東京では725人も熱中症で救急搬送されています。

 

 もしもチャリティーマラソンで熱中症や体調不良が続出した場合、救急車が対応できない可能性があります。やはり医師としては、特に30度以上の真夏日には、チャリティーマラソンを中止すべきだと強く訴えたいですね」(五藤医師)

 

 別の形のチャリティー活動もあるのでは……。

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