「同情もできるが」奈緒のインティマシー・コーディネーターを拒否した監督が物議 映画プロデューサーが明かす“業界の本音”とは

新作映画『先生の白い嘘』で主演する奈緒

 

 映画の性的描写を撮影する際、現場で出演者と制作陣の意向を調整し、創作を円滑にする役割を担うインティマシー・コーディネーター(IC)。役者の安全と創作意図の両立を目指してハリウッドで生まれ、近年の日本でも導入例が増えつつある仕事だ。

 

 重要性が高まっているICをめぐり、ある映画監督の発言が物議を醸している。発言の主は、女優・奈緒の主演映画『先生の白い嘘』(7月5日公開)を監督した三木康一郎氏だ。

 

「三木氏は、ニュースサイト『ENCOUNT』のインタビューで同映画の舞台裏について語りました。同作のテーマは男女の“性の格差”。主演の奈緒さんは『ICを入れてほしい』とお願いしたそうですが、三木氏は『監督と俳優の間に人を入れたくない』として断わったのです。それが『監督のわがままじゃないのか』と、批判を浴びています」(芸能記者)

 

 

 自身の作品で実際にICを起用したことがある映画プロデューサーは、「奈緒さんが導入を希望しているところで『断わる』という選択肢はかなりリスキー」と語る。そして日本の映画界の現状についてこう続けた。

 

「ICは、週刊誌報道により映画界での性加害が明るみになったことをきっかけに注目されるようになりました。日本に導入され始めてからまだ数年で、正直、手探りの状態なんです」

 

 同プロデューサーは、「俳優たちを性被害から守るという点では導入に大賛成」とする。一方で、三木監督にも「一部同情できるところはある」という。

 

「今は、監督をはじめ制作陣と演者が時間をかけて綿密な打ち合わせと確認をおこなうのが通常。出演者は脚本や演出方法をすべて確認し、それでも不安があればキャスティングを断わることができるんです。

 

 そこまで信頼関係を築いた上で、さらにインティマシー・コーディネターを入れるのを嫌がる監督がいるのは事実だし、その気持ちもわかります。ただ時代の趨勢から、積極的に導入すべきだと思います」

 

 役者が納得のうえで演技できてこそ、作品の真の成功といえるだろう。

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