佐野史郎(69)多発性骨髄腫から復帰したいまも「2カ月に一度の検査には保険金が」と「がん保険」に感謝

「保険料の支払いが厳しいとか、子どもの将来を考えてプランを変えたいとか、相談できる人がいることは重要ですね」と佐野史郎(写真・久保貴弘)

 

 各界の有名人に聞いた、入っていてよかった「がん保険」。病気とお金の問題を、赤裸々に語ってもらった!

 

 俳優の佐野史郎は、2021年5月に腎機能障害として入院した。7月に退院したが、同年12月放送の『徹子の部屋』(テレビ朝日系)に出演し、病名が血液のがんである「多発性骨髄腫」であることを公表。その後、2度の入院を経て復帰した。

 

 免疫力の低下から敗血症を併発し、38度から40度の熱が2週間も続いたという佐野。一時は死をも覚悟した闘病生活だったが、保険によって助かったと語る。

 

「僕が入っていたのは生命保険と、生活習慣病などの特約がついた、がんの保険にも入っていました。数年ごとに見直しもしていましたね」

 

 

 保険に入ったのは、俳優としての仕事が入り始め、結婚した30歳のころだった。

 

「20代のころは劇団員だったんで、(お金がなくて)とてもとても……(笑)。国民年金もろくに払えていないような時代でした。でも、結婚したときに、さかのぼってぜんぶ納めましたよ。保険は、最初は国保でしたけど、会社を作ったりもしたので厚生年金に入り、それと同時に積立保険に加入しました。家内の親友が保険会社に勤めていましたので、病気のときもそうでないときも、話ができたことは心強かったですね」

 

 がん保険にも、そんな流れで加入していた。

 

「収入に見合った掛け金に、そのつど見直してきたんですけど、最初に告知されたとき、保険に入っていてよかったと思いましたよね。がんになったら一時金が入り、入院保障もあるタイプでした」

 

 とはいえ、治療費がチャラになったわけではない。

 

「最初の2カ月は入院していましたし、大きな病院で個室となると、費用はかかりますね。一般病棟でも、1日3万円ではすみませんよね。僕の場合、保険金で差額ベッド代を全部カバーすることは難しかったのですが、毎日の入院費が補われたのは助かりましたよね」

 

 もちろん、高額療養費制度も活用した。

 

「最初に申請しないと、一度は全額の請求が来てしまいますからね。それだけは、きっちりやらないといけないと思っていました。でも、やっぱり病気になっていると頭がまわりませんし、家族がサポートしてくれたので助かりました。いまは、僕のときと違ってマイナンバーカードと紐づけされてる……はずなのですが(笑)。でも、僕が通う病院でも、マイナンバーで限度額の保険適用を更新したいと言ったら、病院と保険協会の間を行ったり来たりで。いざというときにそうなったら、もう困ってしまいますよね」

 

 そんないまでも、佐野はがん保険の恩恵を受け続けているという。

 

「僕は寛解していますが、いまも2カ月に一度、通院して検査を続けています。がんに対しては、通院治療でも保険金が出るタイプの保険だったので、この検査にもずっと、保険金が出ているんです。たしかに、病気になったときのために1000万円を貯金しておき、それと国の制度で賄うという強い意思があれば、がん保険は不要でしょう。でも、ふつうはなかなか難しいですよ。絶対使っちゃいますよね(笑)。月々の支払いはけっして少額ではありませんが、僕の経験では、医療保険に入っていなかったらたいへんでしたね」

 

 そして、痛感したのが医師や看護師、保険会社の担当者とのコミュニケーションの重要さだ。

 

「保険を掛けてあるから、保険金がいくら出るから安心だ、というものではないんです。それらはすべて人が采配することですから、やはりつながりが大事だと思うんですよね。ネットの世界だけだと、昭和の人間としてはわかんないので(笑)、やっぱりプロにまかせたほうが安心だなと思います」

 

 自身を担当する医療チームを、撮影現場のスタッフに見立てて平常心を取り戻し、困難を乗り切ったという佐野。病床で膨らんだ仕事への思いを、ぶつけられる喜びを感じる日々だ。

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