イスラエル軍がガザ空爆、死者・行方不明者87人…ベイルートのヒズボラ「司令部と兵器工場」も

 【エルサレム=田尾茂樹】パレスチナ自治区ガザ北部ベイトラヒヤで19日、イスラエル軍による激しい空爆があり、ガザ保健当局は20日、死者・行方不明者が87人に上ると発表した。軍は20日、レバノンの首都ベイルートの「(イスラム教シーア派組織)ヒズボラ情報機関本部の司令部と兵器工場」も空爆したと発表した。ガザとレバノン双方で攻撃をさらに強めている。

イスラエルの空爆で上がる黒煙(20日、レバノンの首都ベイルート南郊で)=AP

 ガザ当局はベイトラヒヤの住宅街が攻撃されたとしたが、イスラエル軍は「(イスラム主義組織)ハマスを正確に狙った攻撃で、死者数が誇張されている」と主張した。

 ロイター通信によると、軍は19日、ハマス最高幹部ヤヒヤ・シンワル氏の殺害をアピールする遺体写真入りのビラをガザ南部で投下し、ハマスの戦闘員らに投降を呼びかけた。昨年10月の奇襲前日にシンワル氏が食料などを地下トンネルに隠していたとする映像も公開した。戦闘員の士気を下げ、住民の不満をあおる狙いだ。

 一方、イスラエル各地で19日、停戦と人質解放に向けた交渉の早期妥結を求めるデモがあった。商都テルアビブでは数千人が参加し、いとこが人質のイファト・カルデロンさん(50)は「(シンワル氏を殺害した)この機を逃さず何でもするべきだ」と訴えた。

 ベンヤミン・ネタニヤフ首相は戦闘継続の構えを崩さず、19日の声明では「目標達成のため、共に戦い、勝利する」と強調した。

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