イスラエルがヒズボラ本部を空爆、6人死亡91人負傷…ネタニヤフ氏は国連で戦闘を正当化

 【エルサレム=笹子美奈子、ニューヨーク=金子靖志】イスラエル軍は27日、レバノンの首都ベイルート南郊のイスラム教シーア派組織ヒズボラの本部を空爆したと発表した。イスラエルメディアは、ヒズボラの指導者ハッサン・ナスララ師の殺害を目的とした空爆だと報じている。ナスララ師の安否は明らかになっていない。

28日、レバノンの首都ベイルート南郊で、イスラエル軍の空爆を受け立ち上る煙=AP

 ナスララ師が死亡すればヒズボラには打撃となるが、報復を呼び地域の緊張がいっそう高まる恐れがある。

 米ニュースサイトのアクシオスは、イスラエルがレバノンに侵攻した2006年以降で「最大規模のベイルート攻撃」と伝えた。軍は、標的としたヒズボラの本部が住宅用ビルの地下にあるとみている。空爆を受けたのは人口密集地域で、レバノン保健省によると、空爆で少なくとも6人が死亡し、91人が負傷した。

 一方、イスラエルのベンヤミン・ネタニヤフ首相は27日の国連総会の一般討論演説で、ヒズボラについて「我々にはこの脅威を取り除く権利がある」と述べて戦闘を正当化し、各国が求める即時停戦には応じない姿勢を示した。

 パレスチナ自治区ガザのイスラム主義組織ハマスについては、主要な戦闘部隊を「ほぼ壊滅させた」としつつも、「ハマスが武器を捨て人質を解放しなければ、我々は完全勝利に達するまで戦う」と述べた。議場では、ネタニヤフ氏の演説が始まると、アラブ諸国を中心に各国の代表が次々と議場を離れ、イスラエルに対する抗議の意思を示した。

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