イスラエル軍がレバノン220か所を空爆、92人が死亡…シリア国境攻撃で武器補給路断つ狙い

 【エルサレム=笹子美奈子、ニューヨーク=金子靖志】イスラエル軍は26日、イスラム教シーア派組織ヒズボラが拠点とするレバノン国内の約220か所を空爆したと発表した。中東の衛星テレビ局アル・ジャジーラによると、この空爆で92人が死亡し、23日以降の累計死者数は700人を超えた。

 イスラエルのベンヤミン・ネタニヤフ首相は26日、国連総会の一般討論演説のため訪れた米ニューヨークで記者団に対し、ヒズボラを「全力で攻撃する」と述べた。27日の一般討論演説でも、「ヒズボラが戦争の道を選ぶ限り、イスラエルには選択の余地はない。我々には脅威を取り除く権利がある」と正当性を訴えた。

 イスラエルは攻撃の手を緩めていない。イスラエル軍は26日の首都ベイルート南郊への空爆で、ヒズボラの無人機部隊司令官を殺害した。空爆対象は、レバノン南部から拡大している。26日には、ヒズボラの武器補給路を遮断するため、レバノンとシリアの国境地帯を攻撃した。

 国境には、連日の空爆でレバノンからシリアに逃れる避難民が押し寄せている。レバノン当局は、2日間で約3万2000人が国境を越えたと発表した。約半数が、内戦でレバノンに逃れていたシリア難民という。

 一方、米国のブリンケン国務長官は26日、ニューヨークでイスラエルのロン・デルメル戦略問題相と会談し、米仏や日本などが共同声明で提案した21日間の停戦に応じるよう要請した。

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