「南北統一やめよう」文在寅・前大統領側近の発言が波紋…ライフワークだったが「現実を受け入れ、後世に任せよう」

 【 木浦モッポ (韓国南西部)=中川孝之】北朝鮮に融和的だった韓国の左派、 文在寅ムンジェイン 前政権で大統領秘書室長を務めた 任鍾晳イムジョンソク 氏が19日、「(南北)統一をやめよう」と発言し波紋を呼んでいる。

  金正恩キムジョンウン 朝鮮労働党総書記が昨年末、南北は「敵対的な2国間関係だ」と宣言して統一を放棄したことで、統一を理想に掲げた韓国左派も方針転換を余儀なくされている。

 任氏は著名な学生運動の元指導者で南北統一をライフワークとしてきた人物。2018年の南北首脳会談では準備委員長を務めた。

20日、韓国南西部の木浦で、「平壌共同宣言」発表6年の記念式典で演説する文在寅前大統領=中川孝之撮影

 発言は、文前大統領と正恩氏が 平壌ピョンヤン で首脳会談して6年となった19日、南西部・光州での記念行事であった。任氏は「客観的な現実を受け入れ、二つの国家を受け入れよう」と演説した。「しっかりと平和を構築し、その後の朝鮮半島の未来は後世に任せよう」と訴えた。文氏も演説し、「従来の統一議論の全面的な再検討が必要だ」と語った。

  尹錫悦ユンソンニョル 政権は自由民主主義に基づく統一を目指すとしており、保守系与党「国民の力」は、正恩氏の反統一宣言に呼応したと任氏を批判した。

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