「南北融和」推進する韓国の統一省、平和的な統一「非現実的」との意識浸透し曲がり角に
分断国家である韓国には、北朝鮮との統一を推進する統一省が存在する。平和的な統一は実現が遠のき、役割は曲がり角を迎えている。
「資本と技術」「土地と労働力」提供
統一省は1998年、北朝鮮に融和的な
政府組織法では「統一および南北対話、交流・協力に関する政策の樹立、統一教育、その他統一に関する事務を管轄」すると規定された。各省庁に分散する部署を69年にまとめて設置した国土統一院(90年に「統一院」に名称変更)が前身だ。
対北協力事業としては、韓国人が北朝鮮の景勝地を訪問する
南北当局間の公式対話窓口としては、軍事境界線上の
協力推進あだに
こうした取り組みは、対決より対話や経済協力を進めた方が緊張緩和をもたらすという金大中氏の考えに基づくものだったが、北朝鮮が核・ミサイル開発を加速させる結果に終わった。
開城工業団地で得た外貨の7割が朝鮮労働党に上納され、核・ミサイル開発に流用されたとする韓国政府の分析もある。
文在寅前政権は
保守政権誕生のたび 廃止論
韓国ではこれまで対北融和政策を進める左派から、対北強硬政策をとる保守への政権交代のたびに、統一省の廃止論が浮上してきた。
22年に就任した保守の
新たに力点を置くのは北朝鮮の人権問題の啓発だ。23年4月、「人道協力局」を「人権人道室」に格上げした。
尹氏は7月14日、今年制定した初の「脱北者の日」の記念式典で演説した。北朝鮮から逃れてきた人など約200人をソウルに集め、外国に逃れた脱北者が北朝鮮に送還されないよう「あらゆる外交的努力を尽くす」と宣言した。行事は統一省が主管した。統一省は23年3月には脱北者約500人の証言を基に公開処刑や政治犯収容所など人権弾圧の実態をまとめた報告書も初公開した。
09/16 05:00
読売新聞