現役の出稼ぎ嬢が証言!! 世界各国の中国人経営の風俗店が"日本人風俗嬢だらけ"になっていた!

オーストラリアの有名風俗店のホームページ。日本語の源氏名を名乗り、写真からも明らかに日本人と思える女性たちが多数在籍中


オーストラリアの有名風俗店のホームページ。日本語の源氏名を名乗り、写真からも明らかに日本人と思える女性たちが多数在籍中

円安が進む中、海外へ出稼ぎに行く日本人が増えているが、それと同じ現象が風俗嬢にも起きている。しかし、その様相は一般的な仕事とはどうも違う。実はこの風俗嬢の出稼ぎブームには中国人が絡むケースが多数あるようで......。

今、風俗やAVなど、日本のエロ産業で存在感を増している中国人。その実態を追う短期連載がスタート!【日本に侵食する中国「エロ産業ネットワーク」の闇 第1回】

【写真】海外風俗のプレイルームほか

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■「日本人」の希少価値

近年、日本人女性が海外の風俗店に「出稼ぎ」に行く現象が起きている。アメリカやオセアニア諸国では一般の日本人女性まで入国審査が厳しくなるなど、思わぬ弊害も発生した。

では、当事者たちはどんな理由で、どんな場所で働いているのか。インタビューから実態に迫る中で見えてきたのは、世界各地に張り巡らされた中国人の風俗店ネットワークの存在だった――。

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「お客さんが来たら、中国人のスタッフが大部屋の待機室に『Say hello!』(ハローの時間だ!)って呼びに来ます。みんなで廊下の先の大部屋に向かうと、ソファに男性が座っている。その目の前に、10~20人の女のコがズラッと並ぶんです」

オーストラリア・シドニーにある出稼ぎ先店舗の様子を話すのは、実際に勤務経験があるサトミさん(38歳。仮名、以下同)である。彼女の本業は関西地方のソープ嬢だが、年に1、2回ほど「気分転換を兼ねて」シドニーに10日間ほど出稼ぎに行く。

客にキャストの写真を見せる日本とは違い、シドニーでは女性の〝実物〟を選ばせるシステムだ。店の経営者に中国人が多いため、中国の風俗産業の習慣が持ち込まれているらしい。

「目の前でほかのコが選ばれるとけっこうヘコみます(笑)。シドニーの店は中国人客が6割くらいで、彼らは若いコを好みがち。ただ、私は台湾人やインド系の人からウケがいいので、普通で1日5、6本、多いと十数本の指名がありますよ」(サトミさん)

風俗業界は1回の接客を「本」で数える。この店では1本当たり約200豪ドル(約2万1500円)がサトミさんの取り分だ。

渡航費は自腹だが、店内に泊まるなどして節約すれば、1、2日働いてペイできる。ただ、彼女は続ける。

「コロナ禍の少し前までは日本人に希少価値がありましたが、最近は店の女のコの8割くらいが日本人のことも。強みがないと厳しいですよ」

事実、現地の店舗のホームページを確認すると、なんと「新人」8人のうち7人が日本人だった。明らかな供給過多だ。

■仲介業者に絡む中国人

出稼ぎラッシュの背景を見ていこう。

20年近く前から業界を知るベテラン出稼ぎ嬢のエリカさん(40代)によると、マカオなどの海外の風俗店に日本のAV女優やソープ嬢を紹介するシステムは、遅くともゼロ年代中盤から存在したもようだ。

また、オーストラリアのように売春がほぼ合法の国では、ワーキングホリデーなどで滞在中に風俗店で働く日本人も昔からある程度はいた。

ただ、出稼ぎ嬢が大量に出現したのは最近の話だ。出稼ぎ嬢のモナさん(28歳)は、現地で会う〝同僚〟たちについて、こう話す。

「断トツに多い動機はホスト絡み。待機室で『担当』(推しのホスト)に使うお金を稼ぎに来た、と話すコが大勢います」

ホス好き女子の間で、海外出稼ぎの存在が広く知られたきっかけがある。2018年頃、彼女らの界隈でインフルエンサー的な立場にあった女性が、シドニーでの戦果をSNSに投稿したのだ。

この女性はヒヨリさん(25歳)といい、普段は北日本を中心にデリヘルで働いている。取材に応じた彼女はこう話す。

「稼いだお金で、担当に200万円のシャンパンタワーを入れたよ!って投稿したらバズって、事情を知りたい人からダイレクトメッセージが殺到したんです。軽いやりとりを含めると、100人くらいに事情を教えました」

もっとも、出稼ぎの存在を知っても海外の風俗店と直接交渉できる人は限られる。そこで活発になったのが、日本国内の仲介業者だ。前出のサトミさんが証言する。

「仲介業者を通じて出稼ぎに行くと、そのコが稼いだ手取りの1割程度が勧誘したスカウトに渡る仕組みなんです。仮に1日に20万円稼げば、スカウトは2万円×人数分の儲けになる。なので、彼らがどんどん女のコを勧誘して海外に送り込んだんですよ」

スカウトたちはXで求人を出したり、ホスト経由で女性を勧誘したりする。だが、彼らは日本人の個人事業主で、海外事業者との直接の関わりはない。

個々のスカウトの「上」にエージェントと呼ばれる斡旋業者がおり、こちらに在日中国人や日中ハーフの人たちが絡んで、海外の風俗店と話をつなげているようだ。

「顔の見えない中国系らしきエージェントが、海外の中国系店舗に女のコを送る現在の仕組みは、コロナ禍の少し前から一般化した気がします」

前出のベテラン出稼ぎ嬢・エリカさんはそう話す。こうしたエージェントの紹介先は世界各地に及ぶ。

「私の体験だけでも、エージェントから紹介された先は、オーストラリアやニュージーランドのほか、アメリカ、イタリア、ドバイ、インドネシア、台湾など、世界各地にネットワークがありそうです」(エリカさん)

海外風俗のプレイルーム。なお、こちらはエリカさんが出稼ぎに行ったニュージーランドの店舗のもの


海外風俗のプレイルーム。なお、こちらはエリカさんが出稼ぎに行ったニュージーランドの店舗のもの

■福建省系の経営者組織

彼女の実感を裏づける話は、なんとアメリカで確認できた。

「アメリカの場合、経営者は中国系の女性が多いですね。風俗がほぼ違法の国なので、すべてがヤミ営業。店のママが『WeChat』(中国のチャットアプリ)でつながったメンバーだけを顧客にする形態なんです」

そう話すのは、北米を主戦場にしている出稼ぎ嬢のヒトミさん(36歳)だ。彼女は過去、マカオのソープランドで出稼ぎした資金で台湾に語学留学しているため、英語のほかに中国語も話せる。近年は1回当たり数ヵ月間の渡米で、その都度500万円以上を稼ぎ続けているという猛者である。

アメリカ某所の風俗店。待合室で中国人男性客が談笑しており、日本のそれとは違う雰囲気


アメリカ某所の風俗店。待合室で中国人男性客が談笑しており、日本のそれとは違う雰囲気

彼女の話によると、アメリカの中国系風俗店の多くは、中国南部の福建省(福州)系の人たちによって運営されているようだ。

「そういう店は、お客さんもほとんど福建系。一見さんが来ると、ママが『○○地方の言葉をしゃべってみて!』と尋ねてフィルタリングして、同郷の人以外は同じ中国人でも断る店もあるくらいです」

もっとも、ヒトミさんはこの福建ネットワークの恩恵も受けた。アメリカ出稼ぎを始めた初期、あるママに気に入られたのだ。

「仕事ぶりがいいから、ほかの街の仲間を紹介してあげる、と言われました。彼女たちは手数料を節約したいのでエージェントを使いたがらず、『WeChat』につくった同郷人の同業者グループ内で、働きのいい女のコを紹介し合うんです。あと、当局の摘発情報も共有していますね」

ヒトミさん(左)が仲のいい中国人ママ(右)とふたりでお花見に行った写真を見せてくれた


ヒトミさん(左)が仲のいい中国人ママ(右)とふたりでお花見に行った写真を見せてくれた

仮に日本のエージェント経由で出稼ぎをした場合、フラッシング(ニューヨークの中華街)や、サンフランシスコやロサンゼルスにある風俗店を紹介される。

だが、これらの大都市は入国拒否や摘発のリスクが高く、また日本人出稼ぎ嬢が多すぎるため、過剰サービス合戦や価格破壊に陥りがちだ。

ただ、ヒトミさんは福建ネットワークのおかげで、ほかに日本人がほとんどいない場所で、高い給料で働けることが多いという。

「シドニーの店のママから『ここはいいよ』とアメリカの店舗を紹介されたこともありました。国境を超えた薄いつながりもあるみたいで」

ママたちに紹介された行き先は、ボストン、ニュージャージー、アトランタ、テキサス、オクラホマ、サンノゼ、オークランドと、東海岸から西海岸まで全米各地に及ぶ。

店舗が目新しさを重視するためか、1店舗当たりの勤務期間は10日程度だ。その後は別の街に移る。数ヵ月間の滞在期間中はずっと〝アメリカ横断ウルトラ風俗〟の旅が続くのだという。

女性の待機室が大部屋の店舗の場合、雑然とした雰囲気の中で待つことも。こちらはニュージーランドの店舗の内部


女性の待機室が大部屋の店舗の場合、雑然とした雰囲気の中で待つことも。こちらはニュージーランドの店舗の内部

■中国人の振る舞いで我慢できないこと

同じアメリカの中国人客でも、客層は各地で大きく異なる。ヒトミさんはこう話す。

「いちばん穏やかなのが、シリコンバレーがあるサンノゼ。ほぼ全員がIT系のエンジニアで、〝頭の良いのび太くん〟みたいなお客さんばっかりなんです。英語は上手だし、乱暴なことは絶対にしない。話題も『日本のアニメが好きです』とかそういうので......」

中には、マイクロソフトの社名が入った上着を着たまま風俗店にやって来たのび太くんもいたという。

一方、客層が最悪だというのが中部のオクラホマだ。現地では18年に医療大麻が合法化されたことで、なぜか中国人の間で大麻栽培ブームが起きた。そのため、ひと山当てようとやって来た大麻農家ばかりが風俗店に来るのである。

「オラオラ系の元ヤンキーみたいな兄ちゃんが多くて、コンドームを使わず無理やりしたがるとか、マナーがとにかく最悪。中国人の女のコからは『大麻猿』ってあだ名までつけられていて。

彼らは『1時間』みたいな簡単な英単語すら知らない人も多かったんですが、保守的な内陸部のオクラホマでどう日常生活を送っているのか、謎です」

ただ、在米中国人の風俗コミュニティは、内部に入るとゆるい世界でもある。

「(カリフォルニア州)オークランドのお客さんも半グレっぽい男性が多いんですが、女のコを待っている間、客同士でサイコロ賭博で遊んでる。日本の風俗店の待合室じゃ考えられない光景です(笑)」

この店はママもゆるく、暇なときは従業員を連れて近所のアウトレットに遊びに行くのが常だった。

「そうしたら、ママが呼んだ白タクの中国人運転手が、以前についたことがあるお客さんだったんです。『よっ、今日は買い物か?』とか尋ねられて。アットホームすぎます」

ただ、ヒトミさんがどうしても許せない文化の違いもあった。

「中国人の男性は、シャワー室の排水口におしっこする人が多いんです。一度、シャワーで体を洗っている最中に前触れなく出した人がいて。さすがに怒って、サービスしないで部屋から追い出しました」

その後、客はママから「日本人はきれい好きなんだから!」と叱られていたという。

■出稼ぎ嬢が抱える高いリスク

彼女らが出稼ぎ先で会う、同業の日本人女性の「8割くらい」(エリカさん)は、ホストや美容整形などの費用調達が目的のようだ。

近年、売春が合法の国ですら日本人女性が入国拒否される例が出ている。現地当局がホストの売掛金絡みで売春を強制されている疑いを持っているためだという。

一方、彼女らの中には英語や海外旅行が好きで、趣味と実益を兼ねて海外の風俗店に向かう例も一定数は存在する。このタイプの場合、「国内の風俗よりもラク」と感じている人も少なくない。彼女らのひとりはこう話す。

「最近、日本の風俗店は、働く女のコに写メ日記やXのアカウント運営なんかも求めるんですが、これがすごく面倒なんです。でも、海外は風俗の本来の仕事しかしなくていい。言葉の壁もあるので、お客さんの機嫌を取るために長々と話を合わせる必要もない。これが気楽なんです」

もっとも、当然ながら日本にはない危険とも隣り合わせだ。渡航目的がバレて入国拒否に遭うくらいならまだマシ。3年ほど前には、滞在情報がアメリカ当局に漏れて帰国時の空港で逮捕され、600万円ほどの売り上げを全額没収された出稼ぎ嬢が話題になったという。

また、店舗と結託した強盗から、帰国前日に売り上げをすべて盗まれる事態も時に発生する。関係者の間では、昨年の年末年始にカナダで出稼ぎ嬢が殺害されたという噂も駆け巡っている。

うまくいけば1ヵ月以内で数百万円を稼げるが、かなりハイリスクな行為なのも間違いないだろう。

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今回の短期連載は、世界を覆う中国人のエロ産業ネットワークの最前線を追うものだ。彼らの欲望産業の一端は、もちろん日本国内にも存在する。次回は日本の中国人向け風俗店や、中国人が日本人女優を使って撮影する自主制作AVの事情についてリポートしたい。

取材・文/安田峰俊

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