金正恩の「トラウマ」が阻む、北朝鮮観光の本格再開

北朝鮮は今年2月、コロナ後で初めてとなる外国人観光客の受け入れを行った。ロシア人観光客を少なくとも5回に分けて受け入れたが、最大の上客だった中国人観光客の受け入れは未だ再開されていない。

それが、ここに来てようやく受け入れ再開の動きが出始めた。

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北朝鮮を専門的に取り扱うヤング・パイオニア・ツアーズ(YPT)は、自社のサイトで、中国国境に面した新義州(シニジュ)が開放される可能性があると明らかにした。また、同社の代表が丹東中国国際旅行社から得た情報として、中朝両国の高官が、北朝鮮観光の再開について協議しているとも明らかにしている。受け入れ再開は早ければ今月末になると見られている。

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新義州はコロナ前、中国人観光客がパスポートなしで日帰りツアーで訪れられるところで、郊外の東林(トンリム)を含めたツアーも人気だった。

YPTのローワン・ベアード代表は、米国の北朝鮮専門ニュースサイト「NKニュース」の取材に、新義州にはコロナ前、1日約30万人の中国人観光客が訪問していたと明らかにした。

国連安全保障理事会の対北朝鮮制裁の規制対象にならない観光業は、北朝鮮にとって手堅い外貨収入源だった。コロナ前にはオーバーツーリズム気味で、一時的にキャパシティを超えたため、受け入れを制限したことさえあった。

しかし当面、受け入れは国境沿いの都市に限られるようだ。

米ランド研究所のブルース・ベネット研究員は、米政府系のラジオ・フリー・アジア(RFA)の取材に、次のように答えている。

「北朝鮮は外貨を求めているが同時に用心深くなっている。K-POPやドラマなどの韓国の文化コンテンツが中国に溢れていることを知っているからだ。中国人観光客の受け入れを再開すれば、政権が望まない外国からの情報の相当な流入が予想される。」

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北朝鮮は、体制を揺るがしかねないとして、今まで以上に韓流の取り締まりを強化しているが、流入は止まらず、いたちごっことなっている。同時に思想教育も強化しているものの、対象となっている若者の反応は冷淡だ。韓流の影響を受けて一度変わってしまった人々の考え方を、元に戻すのは非常に困難だろう。

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また、北朝鮮は、韓流以外にも、感染症の流入を極度に恐れている。貧弱な医療体制でコロナと闘うことを強いられたトラウマだろう。しかし、新義州の開放だけでは客単価は低く、より儲けるには平壌や他の地域も開放しなければならない。

朝鮮には「ウジ虫が怖くて醤油が仕込めるか」ということわざがある。多少のリスクがあってもやるべきことはやらなければならないという意味だが、金正恩総書記は韓流と感染症というウジ虫に相当ビビっているようだ。

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