首相、中国念頭に「不透明な形での核戦力の急速な増強」警戒 FMCT交渉開始へ協力要請

【ニューヨーク=平田雄介】岸田文雄首相は23日(日本時間24日朝)、米ニューヨークの国連本部で、核兵器保有国の米英仏を含む11カ国の代表を招いて「兵器用核分裂性物質生産禁止条約(FMCT)フレンズ(友好国)」立ち上げ会合を主催した。冒頭、中国を念頭に「一部の国による不透明な形での核戦力の急速な増強は、他の国も巻き込む軍拡競争に火をつける可能性がある」と危機感を示し、友好国にFMCT交渉の「早期開始」へ協力を求めた。

11カ国は他にイタリア、オランダ、カナダ、オーストラリア、ドイツ、ナイジェリア、フィリピン、ブラジル。首相を含む12カ国の代表は会合後、FMCT交渉「即時開始」支持拡大へ緊密に協力するとの共同報道発表を明らかにした。

FMCTは、高濃縮ウランやプルトニウムなど核分裂性物質の生産を禁止し、核兵器の数量増加を制限する条約。首相は唯一の戦争被爆国の政治家として、退任後も「核兵器のない世界」へ現実的な歩みを支える決意を示し、12カ国が2026年の核拡散防止条約(NPT)再検討会議に向けて「利害の対立する国々の対話を加速させる」ことへのを期待感を示した。

中国は、NPTが定める核保有5カ国の中で唯一、兵器用核分裂性物質(FM)生産のモラトリアム(一時停止)を宣言していない。

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