レバノンのポケベル爆発は解明進まず 焦点の会社が製造を否定、工作の時期や場所謎のまま

【テルアビブ=佐藤貴生】レバノン各地で2日続けて小型通信機器の爆発が相次ぎ、多数が死傷したことで現地の住民の間に不安が広がった。18日に爆発したトランシーバーは日本製との指摘もあり、詳細に関する調査が進む見通しだ。一方、17日に一斉に爆発したポケットベル(ポケベル)を巡っては、関連があるとされた会社が製造への関与を否定し、爆発に至る経過は不明のままだ。

ロイター通信は治安当局者の話として、爆発したトランシーバーとポケベルは、レバノンの親イラン民兵組織ヒズボラが約5カ月前のほぼ同じ時期に購入したと伝えた。米CNNテレビは、ポケベルはイスラエルの対外特務機関モサドと軍が合同作戦を行って爆発させたと報じた。

ポケベルの製造元と報じられた台湾のゴールド・アポロ社は、爆発したのは同社の商標使用権を持つハンガリーの「BACコンサルティング」社が製造・販売したものだとした。

一方、BACの最高経営責任者は18日、米NBCテレビの電話取材でアポロ社と取引があることは認めたものの、「(ポケベルは)製造しておらず、(商品の)仲介しか行っていない。何かの間違いだ」と述べた。

モサドなどはヒズボラ向けに納入されたポケベル5000個に爆発物を埋め込んだとも指摘される。だが、工作の時期や場所は相変わらず謎に包まれている形だ。

ヒズボラはポケベルの爆発を受け、イスラエルに報復すると言明した。ロイター通信は2日続けて多重爆発が起きたことで、ヒズボラには「より大規模な報復を行うべきだという圧力」がかかっているとする識者の見方を伝えた。

イスラエルは両事件に関与したかは明らかにしていないが、ガラント国防相はレバノンで2件目の爆発が起きた18日、「戦争は新たなフェーズに入った」と述べ、焦点がレバノンと国境を接するイスラエル北部に移ったとの見方を示した。ヒズボラとの本格戦闘にシフトする方針を強調した格好だ。

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