台湾の頼政権も「反腐敗闘争」? 若者の政治関与リスクが増すかも 台湾有情

台湾の第2野党、台湾民衆党の柯文哲主席が台北市長時代の汚職容疑で逮捕された事件は連日、続報が新聞やテレビをにぎわしている。民衆党は立法院(国会に相当)のキャスチングボートを握っており捜査の行方に注目が集まるが、柯氏は裁判所の勾留決定にあえて抗告しなかった。捜査は「政治的迫害」だと支持者にアピールしたいようだ。

民衆党は民主進歩党、中国国民党という二大政党から距離を置く無党派の若者の受け皿になっていた。選挙での投票にとどまらず、民衆党のスタッフや議員候補になって政治の世界に飛び込んだ若者も多い。党報道官のうち2人はテレビ記者出身だ。

二大政党に「世襲」が増える中、新興勢力の民衆党には「入党後すぐにポストが得られる利点があった」と台湾の政治研究者は語る。もともと台湾の若者にとって政治は身近な存在。選挙で落選しても党が役職を用意するなど「政治に関与するリスクは日本より小さい」という。

ただ頼清徳政権の発足後、政治家への汚職捜査が活発化し、中国の反腐敗闘争になぞらえる声もあるほどだ。頼氏は「政党や人物を問わず、証拠があれば捜査を」との立場で、実際に頼氏に近い政治家も摘発されている。今後はよほど身ぎれいな人物でなければ「政治に関与するリスク」が高まるかも。(西見由章)

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