フジモリ氏死去のペルー 大統領と国会議員の半数に不正疑惑で政治不信、総選挙は先延ばし

【ニューヨーク=平田雄介】11日死去した日系2世のアルベルト・フジモリ氏が大統領を務めたペルーは現在、ボルアルテ大統領と一院制の国会議員130人の約半数に不正疑惑が持ち上がり、国民の政治不信が募っている。大統領支持率が4%、国会への支持率が5%と極度に低迷する中、今年4月と目された総選挙は「先延ばし」となった。

近年の混乱は、2021年の大統領選で、大接戦の末、フジモリ氏の長女で中道右派のケイコ氏に勝利した急進左派のカスティジョ前大統領が、少数与党となった国会対策に失敗し、22年12月の罷免決議で「失職」したことに始まる。

カスティジョ氏の「復職」を求める支持者の抗議デモは全国に広がり、一時は空港や道路を占拠した。副大統領から大統領に昇格したボルアルテ氏は、国会の右派、中道派と協力してデモ隊が要求した26年の次期総選挙(大統領選・議会選)の前倒しに応じる姿勢をみせ、今年4月実施を可能とする憲法修正案を可決した。

しかし、現在に至るまで総選挙は実施されていない。不人気のボルアルテ氏と国会議員が「落選を恐れて先延ばしした」(外交筋)。他方、ボルアルテ氏と右派、中道派は今年3月、国会のチェック機能強化を掲げて「二院制」を復活させ、定数を上院60人、下院130人とする憲法修正案を可決した。修正案は次期総選挙から適用され、国会議員の総数は60人の純増となる。

ボルアルテ氏は7月、今年の国内総生産(GDP)の伸び率がペルー中央銀行の予想3・1%を上回る見通しだとし、来年4月の総選挙実施を表明した。堅調な国内経済を背景に選挙戦への自信を示したものとみられるが、足下では所有する高級腕時計などの宝飾品を資産として申告せず、不正蓄財したとの疑惑に国民が不信の目を向けている。

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