プーチン氏、停戦はウクライナの事実上の「降伏」が条件と主張 ゼレンスキー氏も停戦否定

ウクライナ侵略を続けるロシアのプーチン大統領は4日、ウクライナとの将来的な停戦に関し、ウクライナが「不可逆的かつロシアにとって容認できる措置」に同意した後にのみ可能になるとの認識を示した。ウクライナが事実上の「降伏」を受け入れない限り、停戦には応じないとする考えを示した形。訪問先の中央アジア・カザフスタンでの露メディアとの記者会見で発言した。

記者会見で露メディアは「和平交渉を成功に導くため、交渉開始前に停戦することは可能か」と質問。ハンガリーのオルバン首相が2日、ウクライナのゼレンスキー大統領に、停戦した上で和平交渉を開始すべきだと提案したことを踏まえた質問だとみられる。

これに対し、プーチン氏は、和平交渉の開始前に停戦した場合、「ウクライナが停戦を利用して軍備を再増強する可能性がある」と指摘。ウクライナには以前、成立目前だった停戦合意を破棄して戦闘を継続した前例もあると主張し、停戦に先んじてウクライナがロシアの要求を受け入れる必要があると述べた。

プーチン氏は6月、和平交渉を始めるために必要な条件として、ウクライナが南部クリミア半島と東・南部4州の領有権を放棄するとともに、北大西洋条約機構(NATO)加盟を断念することを提示していた。

一方、ゼレンスキー氏は今月4日までに公開された米ブルームバーグテレビのインタビューで、オルバン氏の提案は受け入れられないとする立場を同氏に伝達したと明らかにした。ゼレンスキー氏は理由を「プーチン氏を信頼できないためだ」と説明。仮に停戦合意が成立してもロシアが順守する保証はない上、軍備を整えて再び侵略を始める恐れがあるとも指摘した。

プーチン氏、ゼレンスキー氏とも相手に強い不信感を抱いており、停戦が困難な実情が改めて示された格好だ。(小野田雄一)

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