「砲撃量7対1から3対1に改善」 ウクライナ、対露砲弾不足の解消進む メディア報道

ロシアの侵略を受けるウクライナのメディア「RBKウクライナ」は26日、同国軍参謀本部筋が「前線での露軍とウクライナ軍の砲撃量の差が7対1から3対1に縮まった」と明らかにしたと伝えた。ウクライナの砲弾不足が解消されつつあることが示された形。4月にウクライナ支援予算案を成立させた米国による弾薬供与の再開などが背景にあるとみられる。

ウクライナ軍は昨年冬から今年春にかけて砲弾不足が深刻化し、最前線の東部ドネツク州などで後退。だが、最近は前線の安定化に成功したとされる。ウクライナ軍は防衛線を維持して露軍の損害を拡大させつつ、追加動員などで戦力回復を進めて将来的な反撃につなげる構想を描いており、砲撃量の差を埋めることが急務となっている。

RBKウクライナによると、同国のガブリリュク国防次官は今月中旬時点で「露軍とウクライナ軍の砲撃量の差は今年初めには7対1だったが、5対1に縮まった」と指摘。同国のゼレンスキー大統領は2月下旬、将来的に反撃に出るためには砲撃量の差を3対1~3対1・5程度にする必要があると述べていた。

ウクライナ侵略では砲撃能力が戦場の優位性を左右する重要な要素となってきた。砲弾供給を再開した米国に加え、チェコは4月、非欧米諸国から砲弾を買い付けてウクライナに供与する仕組みを提唱し、第1弾の供与を今月実施した。また、親露的とされてきたセルビアが欧米諸国への砲弾輸出を通じてウクライナを間接支援していることも最近判明。これらがウクライナ軍の砲弾不足解消に寄与しているもようだ。(小野田雄一)

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