中国で日本人母子が男に切り付けられる 病院搬送 日本大使館が邦人に注意呼びかけ

【北京=三塚聖平】中国東部の江蘇省蘇州市で24日、日本人の母子が刃物で切り付けられ負傷した。在中国日本大使館は同日深夜、在留邦人に対し「外出の際は周囲の状況にくれぐれも留意」するよう注意を呼び掛けた。

日本政府関係者によると、30代の母親と未就学の男児が蘇州のバス停で日本人学校のスクールバスを待っていたところ、中国人とみられる男に刃物で襲われた。母子は病院に搬送されたが、命に別条はないという。

容疑者は現場で当局に身柄を確保された。日本人を標的にしたとの明確な情報は現時点で確認されていないという。在上海日本総領事館が現地で情報収集などにあたっている。

現場にいたスクールバスの案内係の中国人女性も切り付けられ重体という。女性が母子をかばったところ、刃物で切り付けられたという情報もある。

蘇州の日本人学校は25日、休校となった。中国各地にある日本人学校も警備を強化している。

日本大使館は在留邦人に対し、「最近、中国各地で人の集まる場所における刺傷事件が発生している」と注意喚起を行った。中国では不動産不況を背景に経済成長が鈍化し、庶民の雇用・所得環境が悪化。社会不安につながることが懸念されている。

蘇州は江蘇省南部の商工業都市で、上海市から高速鉄道で約30分と近い。人口は約1295万人。日系企業を含む各国のメーカーなど多数が進出している。昨年10月時点で、蘇州居住の邦人は約5300人。

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