習近平氏、ハンガリーを訪問 欧州切り崩しへ親中オルバン政権と関係強化

【ロンドン=黒瀬悦成】欧州を歴訪している中国の習近平国家主席は8日、欧州随一の親中・親露国家であるハンガリーの首都ブダペストに到着した。9日にオルバン首相と会談する見通し。習氏は、今回の歴訪で訪れたハンガリーとセルビアを中国の巨大経済圏構想「一帯一路」における欧州の2大拠点と位置づけ、貿易分野などでの中国の攻勢への警戒を強める欧州諸国の切り崩しに向けた突破口に仕立てる構えだ。

ハンガリーからの報道によると、習氏は今回の歴訪での最終訪問国である同国に10日まで滞在する間、一帯一路構想の一環として少なくとも16のインフラ整備や貿易・投資などの計画に関してハンガリーと合意文書を交わす。

また、報道によれば、習氏はユネスコの世界遺産に登録された初期キリスト教墓所がある南部ペーチの近郊を訪れ、中国長城汽車の電気自動車(EV)製造工場の建設を発表するとみられている。

習氏とオルバン氏との会談では、ロシアに侵略されたウクライナをめぐる対応も主要議題となる。

ハンガリーは外交分野でも中露への接近姿勢が際立って強い。オルバン氏は会談で、中国が昨年発表したウクライナ戦争の終結に向けた12項目の和平提案への支持を表明する。

中国の和平提案を巡ってはロシアが歓迎の意向を示す一方、米国は内容が侵略を正当化するロシアの言い分に寄り過ぎているとして拒否を表明している。

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