シリア内戦、関係国の対応二分=反体制派攻勢、収拾見通せず

【イスタンブール時事】シリアのアサド政権に対する反体制派勢力の攻勢を受け、内戦に関与してきた諸国の対応は二分している。ロシアとイランが政権への全面支持を掲げる一方、反体制派と緊密とされるトルコや米欧諸国は政権に批判的な立場。深まる国際社会の分断を反映した形で、再燃した内戦が収拾する見通しは立たない。
2011年から続くシリア内戦は、強権的なアサド政権、イスラム過激派を含む反体制諸派、少数派クルド系の民兵組織などが入り交じり戦闘を展開。中東諸国や米国、ロシアなども介入し複雑な構図となっている。
当初は劣勢だった政権側は、15年にロシアの軍事介入で支援を得てから盛り返し、国土の大半を奪還して優位を確立した。反体制派は北西部イドリブ県に抑え込まれ、先月末に大規模攻勢を始めるまでは、散発的な戦闘にとどまっていた。
ロシアのプーチン大統領とイランのペゼシュキアン大統領は今月2日の電話会談で、アサド政権を「無条件に支援する」と確認した。反体制派がシリア北部の要衝アレッポをほぼ制圧した後、ロシアは反体制派への空爆を一段と強化。イランのアラグチ外相はシリアを訪れ、「シリアをテロリストの安全な隠れ場所にはしない」と警告した。
一方、シリアの隣国トルコのフィダン外相は2日、「(アサド政権が)反体制派の正当な要求を無視し、真剣に政治解決プロセスに関与しなかったことが誤りだ」と指摘。「政権は国民、正当な反対勢力と和解する必要がある」と訴えた。アサド政権と対立する米英仏独4カ国も1日の共同声明で、緊張激化により「シリア人主導の政治解決の必要性が明確になった」と強調した。
イランのメディアによると、イランとロシア、トルコの外相は今週末にもカタールでシリア情勢を協議する見通し。3カ国は国連主導の和平プロセスとは別の枠組みで、緊張緩和に向けた協議を主導している。

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