トランプ氏「忠臣人事」に暗雲=甘い身体検査、1人脱落―米

【ワシントン時事】トランプ次期米大統領の高官人事が早速つまずいた。司法長官に指名されたゲーツ前下院議員は上院(定数100)での承認見通しが立たず、21日に指名辞退を表明。身辺調査を省略し、閣僚候補を「忠臣」で固めたトランプ流の脇の甘さが露呈した形だ。ゲーツ氏の後継や他の閣僚候補にも醜聞がつきまとい、承認を危ぶむ声が上がる。
「私が次期政権の仕事の妨げとなっていることは明らかだ」。ゲーツ氏は21日、SNSでこう述べた。未成年者の買春疑惑を抱える同氏は20日、共和党上院議員団の会合で直接支持を仰いだが、米メディアによると少なくとも議員4人が承認に否定的だった。来年1月からの新議会で共和党の上院議席数は53。トランプ氏がゲーツ氏に電話し、「(承認に必要な)過半数の支持を得られない」と辞退を促した。
トランプ氏に忠誠を誓うゲーツ氏の司法長官任命は、自身を訴追した民主党に報復し、官僚機構の抜本改革を目指す2期目の象徴となるはずだった。ゲーツ氏の品行の悪さは周知の事実だっただけに、見通しの甘さと議会との連携不足が際立つ結果となった。
大統領職と上下両院を押さえ「かつてない権限」を誇るトランプ氏だが、今回の不手際で「むしろ限界を露呈した」(米紙)と指摘された。新たに司法長官候補に指名されたパム・ボンディ前フロリダ州司法長官は20年弱検事を務め、一定の信頼があるが、トランプ氏からの贈賄疑惑を指摘された過去があり、承認審査では厳しく適性を問われそうだ。
一方、国防長官候補のテレビ司会者ヘグセス氏は、2017年に女性を性的暴行した疑惑が改めて注目されている。21日に上院を訪れた同氏は記者団に、「捜査は終わり潔白が証明された」と述べたが、事実関係の説明は避けた。
また、国家情報長官に指名されたギャバード元下院議員について、トランプ氏と共和党大統領候補の座を競ったヘイリー元国連大使は「ロシアやシリア、イラン、中国を擁護した」と非難した。共和党の外交・安保族の懸念を代弁した発言といえ、指名承認に不安がくすぶる。


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