ゲーツ氏が米司法長官への指名を辞退 未成年との性交渉疑惑が問題に

マット・ゲーツ元下院議員=ロイター

 トランプ次期米政権の司法長官候補に指名されていたマット・ゲーツ元下院議員は21日、指名を辞退することを明らかにした。未成年の女性との性交渉疑惑が問題となっており、人事承認の難航が予想されていた。トランプ氏は新たな司法長官候補に、元フロリダ州司法長官のパム・ボンディ氏を指名した。

 ゲーツ氏は声明で「私の承認が、不当にもトランプ政権移行チームの重要な業務の妨げになっていることは明らかだ。ワシントンでの不要な争いに時間を費やす余裕はない」と述べ、辞退の意向を表明した。

 トランプ氏の腹心として、次期政権で重要視される司法長官のポストに抜擢(ばってき)されたゲーツ氏だが、指名からわずか8日間で辞退に追い込まれた。トランプ氏はSNSにゲーツ氏への感謝を投稿し、「彼は非常によくやっていたが、政権の妨げになることを望んでいなかった」と述べた。

 その後、トランプ氏は新たな司法長官候補として、ボンディ氏を指名すると発表した。ボンディ氏は、2019年にトランプ氏が大統領として弾劾(だんがい)訴追された際にも、弁護団の一員を務めたことで知られる。

 ゲーツ氏は未成年女性との性交渉や違法薬物の使用などの疑惑をめぐり、過去に刑事捜査を受けていた。捜査当局は訴追を断念したが、その後も下院の倫理委員会は調査を継続していた。

 ゲーツ氏は疑惑を全面的に否定し、トランプ氏も指名を強行するために動いていた。だが人事を承認する上院では、倫理委の報告書を公開するよう求める声が党派を超えて上がっていた。

 米紙ニューヨーク・タイムズによると、上院では少なくとも4人の共和党議員がゲーツ氏の承認に強く反対する意向を示していたという。上院(定数100)では共和党が53議席を確保しているが、4人が離反すれば人事承認に必要な過半数に届かない情勢だった。

 また次期政権に向けては、国防長官候補に選ばれたFOXニュース司会者のピート・ヘグセス氏など、ほかにも適性を疑問視される人事が承認を得られるかどうかも焦点となっている。(ワシントン=高野遼)

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