男女間に新たな分断=トランプ氏「強さ」で魅了―ハリス氏は中絶擁護訴え・米大統領選
目前に迫った米大統領選で、ハリス副大統領(60)とトランプ前大統領(78)への支持率に男女で顕著な差が表れている。人工妊娠中絶の権利擁護などを訴えるハリス氏が女性の心をつかむ一方、男性は強さや「男らしさ」を前面に打ち出すトランプ氏に傾斜。「男女対決」は、米国の分断の新たな側面を映し出している。
◇息苦しさと共感
10月20日。激戦州の東部ペンシルベニア州ランカスターで開かれたトランプ氏の選挙集会。会場の外で、道路を挟み二つの集団がにらみ合っていた。片方はトランプ氏を支持する共和党男性グループ。もう片方は「ハリスを支持する女性たち」のプラカードを掲げる民主党支援者だ。互いを「差別主義者」とののしり、小競り合いも起きた。
「トランプのように、ずけずけ物を言うことも必要だ」と話すのは、共和党側の退役軍人スコット・シンクレアさん(50)。同党の選挙運動員ブライアン・ガンダーソンさん(30)は「トランプが強い指導者だから、米国は世界から尊敬される」と語った。
USAトゥデー紙の最新世論調査によると、ハリス氏が女性からの支持でトランプ氏を16ポイント上回ったのに対し、トランプ氏は男性から17ポイント多くの支持を得た。米チャタム大のジェニー・スイートクシュマン准教授(政治学)は、女性は中絶の権利や子育て政策で民主党を支持する傾向があるのに対し、「男性はトランプ氏の外交やビジネスの世界での力強さに引かれやすい」と指摘する。
「アメリカン・エンタープライズ政策研究所」の調査では、トランプ氏を支持する男性の74%が「多くの女性は何気ない言動を『性差別的』と解釈する」という見解に賛同した。特定集団に細心の配慮を払わないと批判される「ポリティカル・コレクトネス(政治的正しさ)」への息苦しさが、失言をものともしないトランプ氏への共感を生む。
◇「権利奪われる」
一方、男性グループと相対した50代の女性は「私は自分の体に対する自由が欲しい」と、中絶の権利回復を最大の争点に挙げた。ハリス氏の母校ハワード大を卒業したというエイリン・イジャメスさん(24)も「トランプは私たちの権利を奪い、ハリスは私たちの権利のために戦ってくれる」と力を込める。
米史上2人目の主要政党の女性大統領候補であるハリス氏は、中絶の権利を選挙戦の中心に据えてきた。だが、女性であることは声高に語らず、銃を所有していると強調したり、トランプ氏との討論会であえて戦車やミサイルなどの軍事用語を並べ立てたりと、「強さ」のアピールも意識している。
集会に参加した陸軍軍人ディラン・ボルトさん(26)によれば、「女性は国を率いる能力がない、と言う人は周りにたくさんいる」。ハリス氏の応援で終盤戦にペンシルベニア入りしたオバマ元大統領も、黒人男性の支持の鈍さを取り上げ「女性を大統領にすることに違和感があるのではないか」と一喝した。
見えにくいが確かに存在する「ガラスの天井」。ハリス氏が偏見を打ち破り、スローガンである「前進の新たな道」を示せるのかが、間もなく判明する。
◇息苦しさと共感
10月20日。激戦州の東部ペンシルベニア州ランカスターで開かれたトランプ氏の選挙集会。会場の外で、道路を挟み二つの集団がにらみ合っていた。片方はトランプ氏を支持する共和党男性グループ。もう片方は「ハリスを支持する女性たち」のプラカードを掲げる民主党支援者だ。互いを「差別主義者」とののしり、小競り合いも起きた。
「トランプのように、ずけずけ物を言うことも必要だ」と話すのは、共和党側の退役軍人スコット・シンクレアさん(50)。同党の選挙運動員ブライアン・ガンダーソンさん(30)は「トランプが強い指導者だから、米国は世界から尊敬される」と語った。
USAトゥデー紙の最新世論調査によると、ハリス氏が女性からの支持でトランプ氏を16ポイント上回ったのに対し、トランプ氏は男性から17ポイント多くの支持を得た。米チャタム大のジェニー・スイートクシュマン准教授(政治学)は、女性は中絶の権利や子育て政策で民主党を支持する傾向があるのに対し、「男性はトランプ氏の外交やビジネスの世界での力強さに引かれやすい」と指摘する。
「アメリカン・エンタープライズ政策研究所」の調査では、トランプ氏を支持する男性の74%が「多くの女性は何気ない言動を『性差別的』と解釈する」という見解に賛同した。特定集団に細心の配慮を払わないと批判される「ポリティカル・コレクトネス(政治的正しさ)」への息苦しさが、失言をものともしないトランプ氏への共感を生む。
◇「権利奪われる」
一方、男性グループと相対した50代の女性は「私は自分の体に対する自由が欲しい」と、中絶の権利回復を最大の争点に挙げた。ハリス氏の母校ハワード大を卒業したというエイリン・イジャメスさん(24)も「トランプは私たちの権利を奪い、ハリスは私たちの権利のために戦ってくれる」と力を込める。
米史上2人目の主要政党の女性大統領候補であるハリス氏は、中絶の権利を選挙戦の中心に据えてきた。だが、女性であることは声高に語らず、銃を所有していると強調したり、トランプ氏との討論会であえて戦車やミサイルなどの軍事用語を並べ立てたりと、「強さ」のアピールも意識している。
集会に参加した陸軍軍人ディラン・ボルトさん(26)によれば、「女性は国を率いる能力がない、と言う人は周りにたくさんいる」。ハリス氏の応援で終盤戦にペンシルベニア入りしたオバマ元大統領も、黒人男性の支持の鈍さを取り上げ「女性を大統領にすることに違和感があるのではないか」と一喝した。
見えにくいが確かに存在する「ガラスの天井」。ハリス氏が偏見を打ち破り、スローガンである「前進の新たな道」を示せるのかが、間もなく判明する。
10/30 14:59
時事通信社