イラン、紛争阻止へ中東外交=対イスラエルで連携模索

【イスタンブール時事】イランのアラグチ外相が19日のトルコ訪問で、一連の中東諸国歴訪を終えた。イスラエルがイランによる大規模ミサイル攻撃への報復を明言する中、イランは中東の紛争拡大阻止に向けた連携を模索。ただ、イスラエルはパレスチナ自治区ガザやレバノンで軍事的攻勢を一段と強めており、イランの思惑が奏功するかは不透明だ。
アラグチ氏は、イスラエル軍の空爆下にあるレバノンを4日に訪問。これを皮切りに、サウジアラビアやヨルダン、オマーン、ガザの停戦交渉を仲介するカタール、エジプトなど計9カ国を回った。
国交がないエジプトではシシ大統領と会談し、「ガザやレバノンで侵略や虐殺を止め、地域全体を全面戦争に引き込む危険なエスカレーションを阻む必要性」で一致した。イランと昨年に国交回復したサウジでは、実権を握るムハンマド皇太子と会談。中東メディアでは、皇太子がバイデン米政権からの意向を伝達したとの臆測も流れた。
アラグチ氏はイスラエルの報復攻撃に協力しないよう各国に訴えたもようだ。イランメディアによると、同氏は19日、「ガザとレバノンでのイスラエルの犯罪を巡り、地域の国々と共通理解ができた」と成果を強調した。
イスラエルは、レバノンでイランを後ろ盾とするイスラム教シーア派組織ヒズボラの最高指導者ナスララ師に続き、ガザでイスラム組織ハマス最高指導者シンワル氏を殺害。一気に反イスラエル勢力の弱体化を狙う構えだ。報復の連鎖で混乱と緊張が広がるリスクはくすぶり、「(イランとイスラエルの戦争は)可能性が高いと覚悟する必要がある」(トルコのフィダン外相)との懸念が強まっている。


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