韓国との陸路の一部爆破=「敵対国と遮断」―北朝鮮

【ソウル時事】韓国軍によると、北朝鮮軍は15日正午(日本時間同)ごろ、韓国につながる道路と鉄路の一部を爆破した。北朝鮮軍は9日、南北間の道路や鉄道を完全に遮断し、「要塞(ようさい)化する」と発表していた。
北朝鮮の金正恩朝鮮労働党総書記は南北統一政策を放棄し、韓国を「敵対国」と位置付ける政策を進めている。爆破には、南北間が物理的に遮断されたことを印象付ける狙いがあるとみられる。
北朝鮮が爆破したのは、東側の「東海線」と西側の「京義線」の道路と鉄路の一部。いずれも南北軍事境界線の北側に位置する。韓国軍は対抗して境界線南側で射撃訓練を行った。
韓国軍は爆破について地元メディアに、境界線から約10メートルの地点で高性能爆薬TNTを用いて行われたと明らかにした。北朝鮮からの事前通告はなく、軍関係者は朝鮮戦争(1950~53年)の「休戦協定違反だ」と強調した。
韓国統一省によると、東海線と京義線の道路と鉄路は、北朝鮮の要請に応じて韓国が総額1億3290万ドル(約198億円)を融資し、建設された。南北協力事業の象徴とされる。
統一省は声明で「爆破は南北合意に明白に違反する異常な措置であり、強く糾弾する」と表明。開城の南北共同連絡事務所の爆破(2020年)に続き、北朝鮮が「退行的な行動を繰り返している」と批判した。
南北遮断の動きは正恩氏が韓国を「敵対国」と位置付けると述べた23年末から始まった。北朝鮮軍は鉄路に地雷を埋設し、枕木やレールを除去。今年8月に鉄路の遮断を完了していた。住民の脱北を防ぐ目的もあると指摘される。
北朝鮮は今月に入り、韓国の無人機が平壌に侵入しビラをまいたと主張している。正恩氏は14日、国防・安全保障分野の協議会を招集し、侵入に対応する軍事行動計画を協議した。韓国政府は、北朝鮮が体制維持のため韓国との緊張状態をつくり「内部の結束や住民の統制を強めている」と分析している。



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