野党「排除」で形骸化=25日投開票、無風3選狙う現職―キリバス大統領選

【シドニー時事】太平洋の島国キリバスで、25日に大統領選の投開票が行われることが決まった。立候補したのは現職マーマウ氏と与党議員2人の計3人。議会で先月行われた指名投票で、与党は候補者枠を独占し、野党を事実上排除した。マーマウ氏は無風での3選を狙う。現政権が進めた親中国の外交路線の是非など実質的な論戦を欠き、選挙は形骸化している。
キリバスでは、議会が議員の中から大統領選候補を最大4人指名し、その後有権者による投票が行われる。8月の議会選の結果、定数45のうち与党系勢力が35となり、与党は数の力を利用してマーマウ氏を含む与党の4人を候補に指名。議員1人が届け出を辞退した。大統領府は「民主的なプロセスが順守された」と説明するが、事情通は「現職を確実に勝たせるための策略」とみる。
マーマウ氏が初当選した2016年と、再選された20年の大統領選は、与野党の候補が争う形だった。報道によると、今回出馬を阻まれた野党指導者のランボーン氏は「有権者に真の選択肢が与えられていない。この国は一党支配になってしまった」と反発しており、投票のボイコットを呼び掛ける構えだ。
マーマウ政権は19年に台湾と断交し、中国と国交を樹立。中国の警察部隊を訓練支援名目で受け入れている。


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