北朝鮮が発射の弾道ミサイル、飛行時間も高度も過去最大 防衛省

 防衛省は31日、同日午前7時11分ごろに北朝鮮から弾道ミサイルが発射され、午前8時37分ごろ落下した、と発表した。大陸間弾道ミサイル(ICBM)級とみられ、高度は7千キロ超で過去最高、飛行時間は86分で過去最長という。弾道ミサイルは少なくとも1発で、飛行距離は約1千キロ、落下地点は北海道奥尻島の西約200キロの日本の排他的経済水域(EEZ)の外と推定している。

 中谷元防衛相は午前8時50分ごろ、防衛省内で取材に応じ、「これまでのミサイルで一番長く飛んでおり、従来とは別のミサイルではないか」と述べ、新型ミサイルの可能性に言及した。韓国国防省も、新型ミサイルの試験発射の可能性があるとした。

 石破茂首相は午前8時20分ごろ、首相官邸に入る際に記者団の取材に応じ、「国民に対する情報提供、安全確認の徹底などの指示を出した。現時点で被害の情報はない」と明らかにした。「この後、詳しく報告を受け、状況を確認して国家安全保障会議(NSC)を開催する」とも述べた。

 林芳正官房長官はNSC後に開いた臨時の記者会見で「わが国地域および国際社会の平和と安全を脅かすものであり、断じて容認できない」と述べ、北京の大使館ルートを通じて北朝鮮に厳重に抗議したことを明らかにした。新型ミサイルであるかどうかについては「ICBM級弾道ミサイルであると考えられるが、新型か否かも含め、これ以上の詳細は引き続き分析中だ」とした。

 韓国軍の合同参謀本部によると、高角度で打ち上げて飛距離をおさえる「ロフテッド軌道」で発射された、長距離弾道ミサイルと推定されるという。韓国国防省の国防情報本部は30日に、北朝鮮がICBMの発射準備をほぼ終え、11月5日の米大統領選の前後に断行する可能性があると指摘していた。韓国軍は「米国側と緊密な協力の下、弾道ミサイルの発射準備活動を追跡してきた」としている。

 米国家安全保障会議(NSC)は、北朝鮮が31日に発射した弾道ミサイルをICBMと断定し、「発射実験を強く非難する」とする声明を出した。「不必要に緊張を高め、地域の安全保障状況を不安定化させる危険がある」と指摘した。(矢島大輔、太田成美=ソウル、清宮涼=ワシントン)

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