ミャンマーで日本人男性拘束 イオン関係者、コメ価格統制で問題視か

ミャンマー最大都市ヤンゴンにある米穀店。低品質から高品質のコメまで、全体的に価格は上がっている=2023年8月28日、ヤンゴン、笠原真撮影

 ミャンマーで全権を握る国軍の統制下にある国営テレビは6月30日、日本の小売り大手イオン系列の現地法人「イオンオレンジ」に勤める日本人男性が当局に拘束されたと報じた。「コメ価格の値上げで国民が高値で購入しなければならなくなり、市場の安定を乱した」として、法的措置が取られたと報じている。

 イオン広報によると、拘束されたのはイオンオレンジの笠松洋・商品本部長(53)。イオンは無事が確認されたとしており、「日本大使館の支援のもと、早期解決を目指し、当局の調査に協力する」とコメントした。

 国営テレビは同氏ら小売企業の関係者計11人がこうした疑いで拘束されたと伝えた。

 ミャンマーでは3年前の国軍によるクーデター以降、政情不安を背景に現地通貨チャットが暴落するなど、インフレが深刻化している。国民の主食である米や食用油といった多くの食料品価格も高騰する中、国軍は物価高を「取引業者の責任だ」と主張。対策として関係者の身柄を拘束、尋問するという手段に乗り出し、強制的に業者らに価格を下げさせているが、市場はかえって混乱している。

 独立系メディアのミャンマー・ナウによると、6月21日にも「ミャンマー・コメ連盟」の会長や関連業者が相次ぎ拘束された。国軍が定めた価格設定を守らなかったためだという。昨年は、食用油の価格高騰を巡り業者らが拘束されたほか、経済対策を担う国軍幹部も粛清された。

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 林芳正官房長官は1日午前の記者会見で、男性がヤンゴン市内の警察署で取り調べを受けており、現地時間6月30日夜に弁護士が警察署で面会した結果として、健康状態に問題はないとの報告を受けていると説明。その上で「政府としては、早期解放を働きかけるとともに、邦人保護の観点から、当該邦人の所属企業との連絡など必要な支援を含めて、引き続き適切に対応をしていく」と語った。(笠原真=ヤンゴン、井東礁、笹川翔平)

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