日本人親子襲われ、総領事館が中国側に申し入れ 日本人学校は休校

中国東部・江蘇省蘇州市で24日午後に日本人学校のスクールバスが刃物を持った男に襲われた現場のバス停=2024年6月25日午前、小早川遥平撮影

 中国東部・江蘇省蘇州市のバス停で24日、蘇州日本人学校のスクールバスが刃物を持った男に襲われ、迎えの母子ら3人が負傷した。事件を受け、在上海日本総領事館は同日夜、現地当局に再発防止と警備強化を申し入れた。同校は25日、休校した。

 一夜明けた25日朝、事件の起きたバス停には、公共バスや企業の送迎車などが頻繁に停車していた。

 現場周辺は市中心部から西に3キロほどの日本人が多く暮らす地区で、2カ月前に引っ越してきた日本人駐在員の男性(31)は「治安が良さそうと思った矢先に事件が起き、不安だ。しばらく外出を控えたい」と話した。

 25日朝時点で、中国当局や本土主要メディアは事件について伝えていない。記者から事件について聞かされた地元の女性は驚いた様子で「被害者の命が助かってほしい」と話した。

 総領事館によると、24日午後に下校時の送迎バスが着いた際、迎えに来ていた日本人の母親と未就学の子どもが男に切りつけられた。母子は搬送され命に別条はないが、バスに乗っていた案内係の中国人女性が意識不明の重体となった。中国人の男は直後に拘束され、当局の取り調べを受けている。

 在中国日本大使館は24日夜、中国ではこのところ、地下鉄や公園での刺傷事件が相次いでいるとして、邦人向けに注意喚起のメールを出した。

 蘇州日本人学校のホームページによると、同校は1997年に週末のみの補習授業校として開校し、2005年に正式な日本人学校となった。

 蘇州市は上海市に隣接する人口約1300万人の都市で、日本企業も多く進出している。(蘇州=小早川遥平)

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