信者と対話して罪を赦す「AIキリスト」が誕生、罪を告白した3分の2が「スピリチュアルな体験だった」と語る


キリスト教には罪の赦しを得るための「告解」と呼ばれる儀式があります。その際、信者は聖職者に対して自身の罪を告白するのですが、スイス・ルツェルンにある教会「Peterskapelle」は、人工知能を搭載した「AIキリスト」が信者の告白を聞くという実験を行いました。
Deus in Machina
https://www.kathluzern.ch/meine-kirche/news/artikel/deus-in-machina
'AI Jesus' Is Now Taking Confessions at a Church in Switzerland
https://www.vice.com/en/article/ai-jesus-is-now-taking-confessions-at-a-church-in-switzerland/
Deus in machina: Swiss church installs AI-powered Jesus | Artificial intelligence (AI) | The Guardian
https://www.theguardian.com/technology/2024/nov/21/deus-in-machina-swiss-church-installs-ai-powered-jesus
ルツェルン応用大学(HSLU)のフィリップ・ハスルバウアー氏とアルヨサ・スモリッチ氏、Peterskapelleの神学者であるマルコ・シュミット氏は、告解ブースに「AIキリスト」を設置する「実験的なアートインスタレーション」として「Deus in Machina」プロジェクトを実施しました。
シュミット氏は「私たちは、どのようなアバターが告解に最も適しているかについて話し合いました。神学者や一般人、聖人などの意見が出ましたが、最終的に最適なのは『キリスト自身である』という結論に至りました」と述べています。
告解ブースに信者が入ると、格子上の仕切りを通したスクリーン上にキリストのアバターが現れ「いかなる場合でも個人情報を開示しないでください。本サービスを実施することによる被害の責任は参加者自身にあります。同意する場合はボタンを押してください」と伝えてきます。その後、Deus in Machinaは信者からの質問や告白を受け付け、リアルタイムで回答を生成し、信者に提供するとのこと。また、Deus in Machinaは相手に応じて100以上の言語で話すことが可能です。


Peterskapelleでは2024年8月から2024年10月までの2カ月にわたり「Deus in Machina」が設置され、1000人以上の観光客や信者による実験が行われました。
フィードバックを行った230人以上の参加者のうち、3分の2の参加者が「スピリチュアルな体験だった」と語っています。実験に参加したある女性は「Deus in Machinaは、私が抱いていた『どうすれば他の人々がキリストのことをより良く理解し、キリストの教えに近づくことができるのか』といった長年の疑問についてアドバイスをくれました」と述べています。
また、別の参加者は「驚きました。とても簡単でした。Deus in Machinaは確かに機械ですが、キリスト教徒の視点から見ても多くの的確なアドバイスをくれました。私はDeus in Machinaから本当に慰められて告解ブースを後にしました」と語っています。


一方で、一部の参加者からは「キリストのAIの答えは陳腐かつ反復的でした」と批判する声も挙がっています。
シュミット氏はDeus in Machinaについて「彼は時々信じられないほど幸せや驚き、刺激を与える回答を生み出した一方、時には表面的なあまりよくない回答を生み出した瞬間もありました」と述べています。また、シュミット氏によると、この実験は教会コミュニティの一部からも「不快感を抱いた」といった批判を受けたとのこと。
シュミット氏は「今回のDeus in Machinaはあくまで実験で、永続的にDeus in Machinaを設置することはありません。ですが私たちは、人々にAIについて非常に具体的な体験をしてもらうことで、ディスカッションのきっかけになってほしいと考えています」と説明しました。さらに「人々にはキリストと話してみたいという渇望があると思います。人々は常に答えを求めており、キリストが述べる言葉に耳を傾けたいと考えているはずです。今回のDeus in Machinaは、宗教やキリスト教の信仰について、簡単で親しみやすいツールです」と述べています。

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