TSMCがアメリカ政府から1兆円の直接投資を受けて1.6nmの半導体工場を建設へ


アメリカ商務省がCHIPS法に基づいて66億ドル(約1兆円)をTSMCに直接投資することを発表しました。同時に、TSMCの1.6nmプロセスルールを採用した半導体工場がアメリカに建設されることも明らかになっています。
Biden-Harris Administration Announces CHIPS Incentives Award with TSMC Arizona to Secure U.S. Leadership in Advanced Semiconductor Technology | U.S. Department of Commerce
https://www.commerce.gov/news/press-releases/2024/11/biden-harris-administration-announces-chips-incentives-award-tsmc


CHIPS法はアメリカ国内での半導体産業支援および振興を目的とした法律で、国内で活動する企業に対して補助金を助成するものです。ドナルド・トランプ次期大統領がCHIPS法に反対の姿勢を示していることからトランプ氏の大統領就任前に契約を急ぐ動きが見られており、2024年11月7日には「TSMCとGlobalFoundriesが商務省との合意に至った」と報道されていました。
半導体メーカーのTSMCとGlobalFoundriesがCHIPS法に基づく補助金助成について商務省と合意 - GIGAZINE


そして2024年11月15日に、商務省はTSMCに66億ドルの直接投資契約を締結したことを発表しました。また、TSMCには最大50億ドル(約7700億円)の融資を受ける権利も付与されています。
さらに、TSMCが1.6nmプロセスルールの半導体製造技術「A16」を採用した半導体工場をアリゾナ州フェニックスに建設することも明らかになりました。工場の建設によって、2万人以上の建設関連の雇用と約6000人の製造関連の雇用が生まれるとのこと。ジョー・バイデン大統領は「今回のTSMCとの最終合意は、650億ドル(約10兆円)におよぶ民間投資を促進してアリゾナ州に3つの最先端施設を建設し、2030年までに数万人の雇用を創出することになります」と述べています。
なお、TSMCは2nmプロセスルールでの量産を2025年に、1.6nmプロセスルールでの量産を2026年後半に開始予定です。
TSMCが1.6nm世代の半導体製造プロセス「A16」を2026年中に量産開始すると発表 - GIGAZINE


by 李 季霖

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