Intelのパット・ゲルシンガーCEOが台湾に関する発言でTSMCを怒らせて値引きを失っていた事が判明
2021年からIntelのCEOを務めているパット・ゲルシンガー氏が、台湾に関する不用意な発言のせいでTSMCからの大幅な値引きを失っていた事が判明しました。
Special Report: Inside Intel, CEO Pat Gelsinger fumbled the revival of an American icon | Reuters
https://www.reuters.com/technology/inside-intel-ceo-pat-gelsinger-fumbled-revival-an-american-icon-2024-10-29/
Intelは自社でチップの設計から製造までを行う能力を有しているものの、製造を担うファウンドリ部門は他社に遅れを取っており最先端レベルのチップを製造できないため、2021年ごろからCPUの製造を台湾に本拠地を置くファウンドリ企業のTSMCに委託し始めました。
IntelがCPUの製造をTSMCに外部委託すると市場調査会社が予測、2021年にエントリーCPU、2022年にミドルレンジ&ハイエンドCPUの製造が開始か - GIGAZINE
ロイターが関係者から得た情報によると、TSMCはIntelに対して、3nmウェハー製造費用についておよそ40%の割引を適用していたとのこと。
しかし、ゲルシンガー氏はTSMCとの関係構築よりも自社製造力の回復を重視していたこともあって、2021年5月に「台湾の工場にすべての卵を賭けるのは望ましくない」と発言しました。この発言を聞いたTSMCの創業者である張忠謀(モリス・チャン)氏は「非常に無礼な人だ」と批判。「IntelのCEOには全員会ったが、5年前に会ったとき、すでにゲルシンガーはちょっと生意気だった。今では、彼はTSMCに対して非常に無礼なので、私は彼が我々にそうするように接する」と述べました。
Intel CEO Pat Gelsinger a ‘very discourteous fellow,’ TSMC founder says - YouTube
ゲルシンガー氏は2021年12月にも、台湾を評して「安定した場所ではない」と発言。TSMCの劉徳音(マーク・リュウ)CEOはコメントを求められて「何も対処すべきことはありません」「ゲルシンガー氏の主張を信じる人は多くないでしょう」と返しています。
TSMC chairman dismisses Intel CEO’s remarks - Taipei Times
https://www.taipeitimes.com/News/biz/archives/2021/12/04/2003768960
表面上は大きな反応を見せなかったTSMCですが、実際にはIntelに対して行っていた40%の割引を撤回しており、Intelの利益率は大きく低下したとのこと。
現代の半導体工場の建設には何兆円もの費用がかかります。Intelは世界2位のファウンドリを目指すべく600億ドル(約9兆2000億円)以上を半導体工場に投資し、新たに「Intel 18A」という製造プロセスを導入しましたが、歩留まりの悪さが報告されています。
なぜ現代の半導体工場を建設するには何兆円もの費用がかかってしまうのか - GIGAZINE
2024年8月1日に発表された2024年第2四半期の決算発表では2400億円以上の赤字を計上。株価は2013年以来の最安値へと下落するなど、Intelにとって苦しい状況が続いています。
Intelの復活計画においては「ファウンドリ事業を分割するべき」などの声が上がるなか、ゲルシンガー氏は「私たちは成功できると確信している」と引き続き再建計画に自信があることを訴えています。
10/30 16:40
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