ドナルド・トランプ氏の大統領当選を的中させた「Polymarket」のCEOの自宅をFBIが家宅捜索しスマートフォンなどの電子機器を押収、ユーザーからの賭け金を受け取って違法な市場操作を行った疑い


現地時間2024年11月5日に投開票が行われたアメリカ大統領選挙では、共和党候補のドナルド・トランプ前大統領が民主党候補のカマラ・ハリス副大統領を打ち破りました。この選挙戦をめぐって、ブロックチェーンベースの予測市場「Polymarket」の創設者兼CEOであるシェイン・コプラン氏に対し、アメリカ連邦捜査局(FBI)が家宅捜索を実施し、スマートフォンなどの電子機器を押収したことが報じられています。
Polymarket Investigated by DOJ for Alleged Use of Platform in US - Bloomberg
https://www.bloomberg.com/news/articles/2024-11-13/polymarket-investigated-by-doj-for-letting-us-users-bet-on-platform
Exclusive | FBI seizes Polymarket CEO's phone, electronics after betting platform predicts Trump win: source
https://nypost.com/2024/11/13/business/fbi-seizes-polymarket-ceos-phone-electronics-after-betting-platform-predicts-trump-win-source/
FBI raids home of Polymarket CEO Shayne Coplan
https://www.axios.com/2024/11/13/polymarket-fbi-shayne-coplan
予測市場のPolymarketでは、賭け金ならびに払い戻しがすべて仮想通貨で行われることが特徴です。また、Polymarketのユーザーは、自分の好きな候補者に無制限で賭けることが可能です。
アメリカ大統領選挙の際には「Theo」というユーザーが7000万ドル(約109億円)をトランプ氏の勝利にベットするなど、Polymarketでは活発な取引が行われました。また、Polymarketでは、「トランプ氏とハリス氏の勝利確率は五分五分」という主流の世論調査結果とは異なり、2024年11月4日時点でトランプ氏が勝利する確率を58.6%、ハリス氏勝利の確率を41.4%と示しており、「従来の世論調査よりも政治的な結果をより正確に予測できる」とPolymarketは主張しています。
2024年アメリカ大統領選は大手メディアの世論調査では接戦だったが予測賭博サイトではトランプ圧倒的有利の予想だった - GIGAZINE

ドナルド・トランプ氏の大統領当選を的中させた「Polymarket」のCEOの自宅をFBIが家宅捜索しスマートフォンなどの電子機器を押収、ユーザーからの賭け金を受け取って違法な市場操作を行った疑い - 画像


また、Polymarketでの大統領選挙に関する賭博が多くの注目を集めた結果、フランスの賭博規制庁(Autorité de régulation des jeux:ANJ)はフランス国内からのPolymarketへのアクセスを禁止しています。
何でも賭けの対象にできるプラットフォーム「Polymarket」をフランス規制当局がアクセス禁止対象にする方針 - GIGAZINE

ドナルド・トランプ氏の大統領当選を的中させた「Polymarket」のCEOの自宅をFBIが家宅捜索しスマートフォンなどの電子機器を押収、ユーザーからの賭け金を受け取って違法な市場操作を行った疑い - 画像


一方で、一部の有権者からは「Polymarketで賭けをする人たちが、トランプ氏に有利なように世間の認識をゆがめており、『ウォッシュトレード』と呼ばれる違法な市場操作を行っている可能性がある」との批判の声も挙がりました。
これを受けてFBIは2024年11月13日、マンハッタンにあるコプラン氏の自宅の家宅捜索を実施。スマートフォンなどの電子機器を押収しました。Polymarketの広報担当者は「これは、2024年大統領選挙の結果を正しく予測する市場を提供したPolymarketに対する現政権による明らかな政治的報復です。Polymarketは、選挙を含む、日常の人々が自分にとって最も重要なイベントをより良く理解するのに役立つ、透明性の高い予測市場です」と述べ、FBIを批判しています。
また、コプラン氏は「現政権が、政敵と関係があるとみなしたPolymarketのような企業を追及する最後の手段を講じようとしていることにはがっかりします。私たちは無党派であることに深くコミットしており、今後もその方針は変わりません。現政権はより企業やスタートアップに寄り添ったアプローチを取れば、今回の大統領選挙での敗北の運命が変わった可能性があると理解して、今回の行動を反省すべきです」と指摘。
さらに「Polymarketは、今回の選挙期間中、誰にも害を与えることなく、何千万人もの人々に価値を提供してきました。私たちはそのことを心から誇りに思っています」と主張しました。
It’s discouraging that the current administration would seek a last-ditch effort to go after companies they deem to be associated with political opponents. We are deeply committed to being non-partisan, and today is no different, but the incumbents should do some self-reflecting…— Shayne Coplan ???? (@shayne_coplan) November 13, 2024

一部のユーザーは「もしも今回の家宅捜索がPolymarketとその賭博行為に関連するものであれば、Polymarketの弁護士に対して召喚状が送られるでしょう。また、コプラン氏の家宅捜索と並行してPolymarketの家宅捜索も行われる可能性が高いはずです。しかし今回はコプラン氏の自宅に限って家宅捜索が行われました。これはコプラン氏の犯罪捜査に関する調査が行われていることを意味します」と説明しています。
コプラン氏による政権ならびにFBIへの批判に対し、次期トランプ政権において政府効率化に関する組織を率いることが表明されているイーロン・マスク氏は「Indeed(もっともだ)」との同調する意見を示しています。
Indeed— Elon Musk (@elonmusk) November 13, 2024

記事作成時点でFBIはコプラン氏に対する家宅捜索の理由について明らかにしていません。これを受け、アメリカ最大級の仮想通貨取引所・Coinbaseのブライアン・アームストロングCEOは「今回のFBIの行動は裏目に出るでしょう。彼らはただPolymarketをさらに強力にしただけです」と批判しました。
What the fuck is wrong with this administration
This will backfire - they just made Polymarket even more powerful https://t.co/mSVD3ZL7Se— Brian Armstrong (@brian_armstrong) November 13, 2024

ジャンルで探す