中国のハッカーがアメリカ大統領選のハリス陣営とトランプ陣営を狙って不正アクセスを試みていたことが判明
2024年11月5日に投開票を迎えるアメリカ大統領選挙を前に、中国政府に関連するハッカーがアメリカの通信インフラへ不正アクセスしていたことを、連邦捜査局(FBI)とサイバーセキュリティ・インフラセキュリティ庁(CISA)が発表しました。調べによると、攻撃を行ったのは「ソルト・タイフーン(Salt Typhoon)」として識別されているハッカーで、大統領選を戦う両陣営のスタッフが狙われたとのことです。
Joint Statement by FBI and CISA on People's Republic of China Activity Targeting Telecommunications — FBI
https://www.fbi.gov/news/press-releases/joint-statement-by-fbi-and-cisa-on-peoples-republic-of-china-activity-targeting-telecommunications
Joint Statement by FBI and CISA on PRC Activity Targeting Telecommunications | CISA
https://www.cisa.gov/news-events/news/joint-statement-fbi-and-cisa-prc-activity-targeting-telecommunications
Chinese Hackers Are Said to Have Targeted Phones Used by Trump and Vance - The New York Times
https://www.nytimes.com/2024/10/25/us/politics/trump-vance-hack.html
China targeted phones of Trump, Vance and Harris campaign affiliates, sources say
https://www.nbcnews.com/tech/security/china-phone-target-hack-trump-vance-harris-rcna177383
FBIとCISAの共同声明は「中国政府関係者による、商用通信インフラへの不正アクセスについて調査を行っている」という簡潔な内容で、誰を狙った不正アクセスだったのか等の情報は含まれていませんが、大手紙のThe New York Timesは、攻撃が「ソルト・タイフーン」と呼称される中国政府と関係のあるハッカーによるものであると報じています。
攻撃の対象になったのは、アメリカ大統領選挙を戦っているカマラ・ハリス氏の陣営のスタッフと、ドナルド・トランプ氏の陣営のスタッフで、トランプ陣営側では、大統領候補のトランプ氏と、副大統領候補のJ・D・ヴァンス氏も標的になっていたとのこと。NBCはハリス陣営から、チャック・シューマー上院議員も標的になっていたという情報を得たと述べています。
端末への不正アクセスが成功していたのか、何らかの情報が盗まれたかどうかは明らかになっていません。
「ソルト・タイフーン」は2024年9月までにアメリカの複数のISPへの侵入し、法執行機関の用いる監視システムにアクセスしていた可能性があることが指摘されています。
中国のハッカー集団「ソルト・タイフーン」がISP経由で捜査機関による盗聴システムに侵入した可能性 - GIGAZINE
中国はロシアやイランとともに、大統領選挙を標的とした工作活動を展開していることが報告されています。「ソルト・タイフーン」による不正アクセスは、大統領選に関連する情報を得ようとしたものだと考えられます。
ロシア・イラン・中国が民主主義の弱体化を狙ってアメリカの大統領選挙を猛攻撃中だとMicrosoftが緊急レポート - GIGAZINE
なお、在米中国大使館の広報担当者はNBCからこの件について質問を受けて、「具体的な状況を把握していないのでコメントできません。大統領選挙はアメリカの内政問題であり、中国はアメリカの選挙に干渉する意図はなく、首を突っ込むつもりもありません。アメリカ側が、選挙のことで中国を非難しないように願います」と返答したとのことです。
10/28 11:39
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