「.io」ドメイン終了の可能性が浮上、イギリスの領土返還によって


テクノロジー関連のウェブサイトで「.io」というドメインが使われているのを見たことがある人は多いはず。この「.io」はイギリス領インド洋地域(チャゴス諸島の周辺地域)に割り当てられた国別コードトップレベルドメイン(ccTLD)なのですが、イギリスがチャゴス諸島の返還を決定したことで「.io」ドメインの存続が不安視されることとなりました。
UK and Mauritius joint statement, 3 October 2024 - GOV.UK
https://www.gov.uk/government/news/joint-statement-between-uk-and-mauritius-3-october-2024
How a UK treaty could spell the end of the .io domain - The Verge
https://www.theverge.com/2024/10/8/24265441/uk-treaty-end-io-domain-chagos-islands
イギリスはチャゴス諸島を19世紀に植民地化し、現在に至るまでインド洋の軍事拠点として利用してきました。一方で、イギリスの元植民地であるモーリシャスもチャゴス諸島の領有権を主張しており、2019年には国際司法裁判所がイギリスに対してチャゴス諸島の返還を勧告していました。
両国間の協議を経て、イギリス政府はチャゴス諸島をモーリシャスに返還することを2024年10月3日に発表しました。このチャゴス諸島の返還に伴って「.io」ドメインの管理権限もモーリシャスに移管されると見られており、「.io」が廃止される可能性が浮上したというわけです。
Internet Assigned Numbers Authority(IANA)は、「ccTLDの基盤となる国や地域が存在しなくなった場合にccTLDを廃止するためのガイド」を公開しています。このガイドによると、ISO 3166-1国名コードから国や地域が削除された場合、当該国および当該地域のccTLDは適格性を失うとのこと。適格性を失ったccTLDは5年の移行期間の後に削除されます。ccTLDの削除は5年間延長することが可能なため、「.io」が適格性を失った場合でも最長10年間は引き続き利用可能というわけです。
Retirement of a Country-code Top-level Domain (ccTLD)
https://www.iana.org/help/cctld-retirement


ccTLDの登録料は国の収益となり、場合によっては収益を生み出すこともあります。例えば、「.ai」ドメインを持つアンギラは登録料だけで年間数十億円を稼いでいることが知られています。「.io」は入出力を意味する「I/O」を想起させることからテクノロジー企業に多く採用されているほか、「.ioゲーム」と呼ばれる「.io」ドメインを取得したブラウザゲームの一大ジャンルが存在するなど、非常に多くのウェブサイトで「.io」ドメインが使われています。このため、管理権限がモーリシャスに移管されればモーリシャスに多大な利益をもたらす可能性があり、モーリシャスが「.io」の維持を試みる可能性も大いに残されています。
AI人気で「.ai」ドメインを持つカリブ海の小さな島「アンギラ」が年間数十億円を稼いでいる - GIGAZINE


なお、ccTLDを巡っては、過去にチェコスロバキアの分割に伴って「.cs」が廃止されたほか、オランダ領アンティルの解体で「.an」が廃止されたこともあります。一方で、ソ連のccTLDである「.su」はソ連崩壊後も存続しており、記事作成時点でも新規登録が可能です。
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