Wi-Fiの通信距離を長距離化させる新技術「WiLo」のテストに成功、最大500mの通信が実証される
中国の南京林業大学情報科学技術学院の教授であるデミン・ガオ氏を筆頭とする研究チームが、既存のWi-FiとLong Range(LoRa)ネットワークプロトコルを組み合わせて「WiLo」と呼ばれる新たな長距離通信技術を開発したと発表しました。
WiLo: Long-Range Cross-Technology Communication from Wi-Fi to LoRa | IEEE Journals & Magazine | IEEE Xplore
https://ieeexplore.ieee.org/document/10680638
Wi-Fi Goes Long Range (LoRa) on New WiLo Standard - IEEE Spectrum
https://spectrum.ieee.org/wi-fi-lora-hybrid
これまで、Wi-Fiは通信範囲が近距離に制限されているのに加えて消費電力が高いという問題があり、一方でLoRaは長距離通信が可能で消費電力が低く、IoTアプリケーションに広く使用されているものの専用のハードウェアが必要でした。
研究チームは2つの通信プロトコルを統合して新たにWiLoという通信プロトコルを作成。「コストや複雑さ、潜在的な障害点を削減してより効率的かつスケーラブルにIoTアプリケーションを展開できる」と述べています。
WiLoではWi-Fiのデータ多重化規格であるOFDMを操作してLoRaの長距離チャープ信号をエミュレートすることで、既存のWi-Fiデバイスを利用して長距離通信を可能にするとのこと。研究チームの実験では屋内・屋外を通して最大500メートルの距離で96%の成功率を記録しました。
一方、WiLoではWi-Fiデバイスが信号エミュレーションを行うため、デバイスの消費電力が増加してしまうとのこと。ガオ氏は「WiLoを商品化するためにはエネルギー効率やデータレート、干渉に対する堅牢性などシステムをさらに最適化する必要があり、そのためにさまざまなIoT環境で追加のソフトウェア開発とテストが必要になるだろう」と述べました。
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