Intelが光でデータ伝送の距離を100倍にする「光コンピューティング相互接続」チップレットを発表
Intelが、光学入出力チップレットをCPUに統合した「完全統合型光コンピューティング相互接続(OCI)」の実証デモを発表しました。銅線と電気でデータをやりとりする従来のチップよりも格段に長い距離のデータ伝送を高帯域幅かつ低消費電力で実現するOCIは、大規模なCPUクラスターやGPUクラスターで構築されたAIインフラに革命をもたらすとされています。
Intel Demonstrates First Fully Integrated Optical I/O Chiplet :: Intel Corporation (INTC)
https://www.intc.com/news-events/press-releases/detail/1699/intel-demonstrates-first-fully-integrated-optical-io
Intel® Shows OCI Optical I/O Chiplet Co-packaged with CPU at OFC2024, Enabling Explosive AI Scaling - Intel Community
https://community.intel.com/t5/Blogs/Tech-Innovation/Artificial-Intelligence-AI/Intel-Shows-OCI-Optical-I-O-Chiplet-Co-packaged-with-CPU-at/post/1582541
OCIは、Intelの統合フォトニクスソリューション(IPS)グループが、2024年3月の光ファイバー通信カンファレンス(OFC)2024で発表した技術です。
その根幹を担うのが、IntelのCPUに一体的に組み込まれた完全統合型光入出力チップレットです。
従来の電気入出力は、高帯域幅かつ低消費電力でデータを扱うことができますが、1メートル以下の非常に短い距離でしか機能せず、大規模化が制限されます。
プラグ可能な光トランシーバーを使えば距離の問題は解決しますが、消費電力とコストが増大するため、膨大な演算を行うAIワークロードには適しません。
今回Intelが発表したOCIは、最大100メートルの光ファイバーによる各方向への32Gbpsデータ伝送を64レーンサポートし、高帯域幅、低消費電力、長距離通信を必要とするAIインフラの需要に対応します。これにより、CPUおよびGPUクラスター接続の大規模化といった新しいAIインフラの設計が可能となります。
CPUやGPUのデータを電気で入出力している現行のハードウェアを光I/Oに置き換えることについて、Intelは「例えるなら、容量と移動範囲が限られた馬車での物資の配送を、はるかに長距離ではるかに大量の物資を配送できる自動車やトラックで行うようなものです。当社のOCIチップレットのような光I/OソリューションがAIスケーリングにもたらすのは、このレベルのパフォーマンス向上とエネルギーコストの削減なのです」と述べました。
OCIの実装デモとして、Intelは最大4Tbpsの双方向データ転送が可能な完全統合OCIチップレットを開発しました。このデモではOCIがCPUとパッケージングされていますが、IntelはGPUやAIチップのIPU、そのほかのSoCにもOCIを組み込むことが可能としています。
IPSグループの製品管理および戦略担当シニア・ディレクターであるトーマス・リリエベリ氏は「サーバーからサーバーへの移動が増え続けているので、データセンターインフラへの負担も増大しており、現行の電気的入出力ソリューションは急速に限界に向かっています。Intelの画期的な成果は、次世代コンピューティングシステムにフォトニクス相互接続ソリューションをシームレスに統合することを可能としています。また当社のOCIチップレットは、帯域幅と到達範囲を拡大し、消費電力は削減することで、高性能AIインフラに革命が起きるようなMLワークロードの加速を実現させてくれるでしょう」と話しました。
06/27 14:00
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