ロシアが半導体国産化に3600億円以上を投資、2030年までに65nm半導体の自力生産を目指す


ロシアの産業貿易省と国際科学技術センターが、2030年までに電子機器製造用の設備を国産化するための包括的なプログラムを策定しました。このプログラムでは110の研究開発プロジェクトが立ち上げられ、2400億ルーブル(約3680億円)以上が投資される予定です。
На импортозамещение оборудования для производства электроники в России выделили больше 240 млрд рублей - CNews
https://www.cnews.ru/news/top/2024-10-01_na_importozameshchenie_oborudovaniya


Russia to spend $2.54 billion on its own chipmaking tools industry by 2030 | Tom's Hardware
https://www.tomshardware.com/tech-industry/russia-to-spend-dollar254-billion-on-its-own-chipmaking-tools-industry-by-2030
ロシアの産業商務省とMIET国際科学技術センターが策定したこのプログラムは、2030年までに電子機器製造用の設備と材料の国産化率を約70%にまで引き上げることを目指しています。記事作成時点でロシアで使用されている400種類以上の設備モデルのうち、国内で生産可能なのはわずか12%程度という現状を考慮すると、これはかなり大きな改善を図っています。
プログラムの具体的な開発目標として、「2026年末までに、単結晶の成長、切断、研磨、洗浄、乾燥、素子の形成、出荷検査といった一連のプロセスを国産設備で行えるようにする」「350nmと130nmのプロセスノードに対応するUV露光装置の開発」「150nmプロセス用の電子ビームリソグラフィ装置の開発」「2030年までに65~90nmプロセスノード用のスキャナーの生産を実現」「2026年までにエピタキシャル技術を習得」が掲げられています。


他にも材料や化学物質の開発、自動設計システムの構築など、のべ110の研究開発プロジェクトが計画されており、プログラムはかなり大規模なものとなっています。ただし、アメリカをはじめとする西側諸国からの経済制裁の影響で、必要な設備の価格は40~50%ほど高騰しているとのこと。そのため、資金面では2030年までに2400億ルーブル以上の予算が割り当てられる予定です。
2400億ルーブル以上という予算規模は、ロシアの電子機器製造業界にとってはかなり大きな投資になりますが、グローバルな半導体産業の投資規模と比較するとそれほど大きくはありません。


ハードウェア関連のニュースサイトであるTom's Hardwareは、プロジェクトの予算がロシアの対ウクライナ戦争の防衛費の約57分の1に過ぎないと指摘し、「投資規模の不十分さや計画の曖昧さ、ロシアの技術的な遅れを考えると実現可能性には疑問が残る」という見方を示しました。

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