iOS 18での「アプリがアクセスできる連絡先をユーザーが個別に選択できるようにする変更」がソーシャルアプリの成長を妨げるとの批判


2024年9月17日にリリースされた「iOS 18」では、ホーム画面のカスタム機能の強化や「ゲームモード」の追加などが行われました。同時に、連絡先へのアクセスを要求するアプリに対し、アクセスを許可する連絡先を個別に選択できる機能も追加されています。この機能に対し、連絡先の共有に依存するソーシャルアプリに大きな問題が生じることになると、海外メディアのThe New York Timesが指摘しています。
Did Apple Just Kill Social Apps? - The New York Times
https://www.nytimes.com/2024/10/02/technology/apple-social-apps-contacts-change.html


This iOS 18 privacy change could spell doom for new social apps - 9to5Mac
https://9to5mac.com/2024/10/02/this-ios-18-privacy-change-could-spell-doom-for-new-social-apps/
従来のiOSでは、連絡先へのアクセスを要求するInstagramやWhatsAppなどのソーシャルアプリに対し、ユーザーは「アクセスを許可」「アクセスを拒否」のどちらかを選択する必要がありました。ユーザーがアクセスに同意した場合、アプリ開発者はそのユーザーのアドレス帳にあるすべての連絡先のリストと、ユーザーの連絡先カードに保存されている電話番号やメールアドレスなどを取得し、その情報を使用してユーザーがフォローする他のアカウントを提案することなどが可能です。
しかしiOS 18では、アプリが連絡先へのアクセスを要求し、ユーザーが同意した場合、続けて共有する連絡先を選択できるメッセージが表示されます。そのため、ユーザーは共有しても問題のない連絡先を選択できます。
この機能に対してThe New York Timesのケビン・ルース記者は「ユーザーがどの連絡先を共有するかを詳細に制御できることは、プライバシーの観点から見ても優れています。また、ユーザーに連絡先リスト全体を引き渡すように求めるソーシャルアプリは不気味で侵略的であるというAppleのスタンスにも共感します」と述べた上で、「一部の開発者は、新しいアプリを軌道に乗せるのに苦労するのではないかと危惧しているようです」と指摘しました。
アプリ開発者のニキータ・ビア氏は「iOS 18での連絡先のアクセスに関する変更は、『世界の終わり』で、新規のソーシャルアプリは『リリースされた時点で死んでいる』可能性があります」と批判しています。
RIP Social Apps, 2005-2023
As of iOS 18, friend-based contact sync apps are basically dead on arrival. The number of people consenting to the new permission has nose-dived—so there is no way to get density in a meaningful way.
But as one door closes, another opens up:
From…— Nikita Bier (@nikitabier) September 19, 2024

一方でAppleは「iOS 18の変更がアプリ開発者に害を与えるとは考えていない」との立場を示しています。Appleによると、以前は連絡先すべての共有を拒否していたユーザーが、必要な連絡先だけを共有できるようになれば、連絡先の共有数が増加する可能性があるとのこと。
ビア氏によると、iOS 18がリリースされて以来、連絡先の共有が劇的に減少し、一部のアプリではアクセスできる連絡先の件数を10件以下に設定したユーザーの数が25%も増加しているとのこと。ビア氏は「連絡先の共有が25%減少したからといって、それほど大きな変化には聞こえないかもしれません、しかし、ソーシャルアプリの場合、連絡先へのアクセスを通して新しいユーザーを既存のユーザーである友人と素早くつなげる能力が、アプリの成功と失敗の違いを生む可能性があります。例えば、Facebookはユーザーがアカウントに登録してから10日以内に7人の友人をフォローした場合、友人をフォローしなかったユーザーよりもサービスの使用を継続する可能性が高いことが分かっています」と述べました。


ビア氏は続けて、「連絡先へのアクセスが必要なソーシャルアプリは、ユーザーが好きなものに基づいてコンテンツを表示するTikTokのようなアプリや、人間を全く必要としないAIコンパニオンアプリに取って代わられる可能性があります」と推測しました。
さらにルース氏は、iOS 18での変更がApple独自のサービスには適用されないことを指摘。実際にiMessageでは、WhatsAppやSignalなどのサードパーティー製メッセージングアプリのようにユーザーの連絡先へのアクセスを求めることはありません。一部の開発者はこれに関して「反競争的だ」と批判しています。

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