iPhoneのNFC決済機能がサードパーティーアプリから利用可能に、2024年後半登場のiOS 18.1から


Appleはこれまで、iPhoneでのNFCを使った非接触決済処理を自社製サービスの「Apple Pay」および「ウォレット」でのみ許可していました。このNFC決済機能について、iOS 18.1以降のiPhoneではサードパーティー製アプリからも利用可能になることが発表されました。
デベロッパはまもなく、Secure Elementを使ってアプリ内NFC決済を提供できるようになります - Apple (日本)
https://www.apple.com/jp/newsroom/2024/08/developers-can-soon-offer-in-app-nfc-transactions-using-the-secure-element/


NFC & SE Platform for Secure Contactless Transactions - Support - Apple Developer
https://developer.apple.com/support/nfc-se-platform/
Apple is finally going to open up iPhone tap-to-pay - The Verge
https://www.theverge.com/2024/8/14/24220323/apple-iphone-tap-to-pay-nfc-api
Apple is opening the iPhone's NFC chip to third-party apps with iOS 18.1 - 9to5Mac
https://9to5mac.com/2024/08/14/apple-nfc-chip-iphone-ios-18-1/
iPhoneやApple Watchには非接触決済を可能にするNFCチップが搭載されていますが、これまでAppleはセキュリティの観点からサードパーティークライアントによる非接触決済を認めず、「Apple Pay」ならびに「ウォレット」だけで認めていました。
しかし、こうした規制はEUによって反競争的と見なされ調査が進められていました。違反が認められれば世界売上高の最大10%という膨大な違約金が科せられる可能性があったことから、Appleは2024年4月に「iPhoneのNFC決済技術をライバル企業にも開放する」とEUに提案。その後2024年7月にEUはこの提案を受け入れています。
AppleがiPhoneの決済システムをライバルにも開放することでEUの訴訟を回避 - GIGAZINE


そしてAppleは2024年8月14日に、今後リリースされるiOS 18.1からNFCチップを使った非接触決済をサードパーティー製アプリに開放することを正式に発表しました。
Appleは「デベロッパは新しいNFC APIとSE(Secure Element)APIを使って、店内の支払い、車のキー、交通系ICカード、社員証、学生証、ホームキー、ホテルの部屋の鍵、店舗のメンバーズカードやポイントカード、イベントのチケット、および今後サポートされる政府機関発行の身分証明書に、アプリ内の非接触決済を提供できるようになります」と説明しています。
また、ユーザーがiPhoneの設定アプリを介してサードパーティー製アプリをデフォルトの支払いアプリとして設定することも可能です。


これらのアプリを構築するための関連APIは、オーストラリアやブラジル、カナダ、日本、ニュージーランド、アメリカの開発者向けのiOS 18.1ベータで利用可能になる予定で、Appleは「今後利用できる国や地域が追加される予定です」と語っています。なお、Appleによると、開発者が自社のiPhoneアプリにNFCによる非接触決済を組み込むには、Appleと商業契約を締結してNFCおよびSecure Elementの資格をリクエストする必要があるとのこと。また、利用の際には関連する料金をAppleに支払う必要があります。
Appleは「以上の条件により、一定の業界および規制に関わる要件を満たし、Appleが進めているセキュリティとプライバシーの基準を約束し、権限を与えられたデベロッパのみが、関連するAPIにアクセスできるようになります」と述べています。

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