iPhone 16 Pro&16 Pro Maxをバラバラ分解、16 Proだけが採用する特別な仕様とは?

iPhone 16 Pro&16 Pro Maxをバラバラ分解、16 Proだけが採用する特別な仕様とは? - 画像


2024年9月に登場したAppleの「iPhone 16 Pro」および「iPhone 16 Pro Max」を、さまざまなデバイスをバラバラに分解して修理可用性を独自に評価するiFixitが分解し、構造の特徴を明らかにしています。
More Modular Than Ever Before: iPhone 16 Pro and Pro Max Teardown - iFixit
https://www.ifixit.com/News/100693/more-modular-than-ever-before-iphone-16-pro-and-pro-max-teardown


iPhone 16 Pro and Pro Max Teardowns - Worth The Upgrade? - YouTube

iPhone 16シリーズにおける大きな特徴は、iPhone 16 Proのバッテリーのみアルミニウムで覆われている点です。このような構造は「バッテリーエンクロージャー」と呼ばれており、Apple Watchではすでに採用されてきたものであるとのこと。ただし、iPhoneでバッテリーエンクロージャーが採用されるのは今回が初めてのことだそうです。
アルミニウム製のバッテリーエンクロージャーは放熱に役立つ可能性が指摘されていますが、iFixitは「修理の面でも大きなメリットになる」と指摘しています。バッテリーエンクロージャーの利点について、iFixitは「修理作業時にドライバーが滑ってもバッテリーに穴が空くことはなく、粘着テープが切れてこじ開けるためにツールを使ってもバッテリーが曲がってしまう心配はありません。バッテリーが曲がってしまうと、ショートして発火する恐れがあります」と記しました。
以下は左がiPhone 16 Pro Max、右がiPhone 16 Proの筐体内の構造を写した写真。iPhone 16 Pro Maxのバッテリーは真っ黒の通常のバッテリーですが、iPhone 16 Proのバッテリーは銀色の金属に覆われています。これがバッテリーエンクロージャーです。

iPhone 16 Pro&16 Pro Maxをバラバラ分解、16 Proだけが採用する特別な仕様とは? - 画像


なお、AppleはiPhone 16シリーズで電気誘導接着剤剥離技術を採用しており、これにより筐体と背面パネルを固定する接着剤を分離することが従来よりも容易になっています。この電気誘導接着剤剥離技術について、iFixitは「簡単には剥がれない接着剤に比べて大幅に進歩しています。しかし、最良の状況下でもストリップをきれいに引き抜くのはまだ少し難しく、ストリップは時間の経過とともに脆くなる傾向があります」と記し、完璧な接着剤というわけではないと評価しました。
AppleがiPhone 16のバッテリー交換手順を公開、接着剤は電圧をかけるとスルリと剥がれる&謎の「砂」も必要だがAppleサポートは「日本ではユーザーがバッテリー交換を実施する状況はない」として詳細を教えてくれず - GIGAZINE


ただし、iFixitによるとiPhone 16 Pro Maxには電気誘導接着剤剥離技術もバッテリーエンクロージャーも採用されていないそうです。
iPhoneでは前面パネルと背面パネルの両方から内部構造にアクセスすることができます。しかし、iPhone 16 ProおよびiPhone 16 Pro Maxでは、バッテリー・カメラ・スピーカーといった主要コンポーネントに、より安価で壊れにくい背面パネル部分からアクセスできるように設計されているとのこと。これは自分の手でiPhoneを修理しようとしているユーザーにとっては大きなメリットになるとiFixitは評しています。前モデルのiPhone 15でも前面と背面の両方を取り外すことができましたが、背面パネルを取り外してもフレームが邪魔で主要コンポーネントを取り外すことができませんでした。
iPhone 16 ProとiPhone 16 Pro Maxではメインカメラのスペックが完全に同じになっています。そのため、iFixitはカメラモジュールが同じものを採用しているのではないかと考えたそうですが、実際はネジ1本分わずかにサイズが異なるそうで、カメラモジュールを共有しているというわけではない模様。
一方で、LiDARモジュールはiPhone 16 ProとiPhone 16 Pro Maxで同じものを利用しているそうです。また、LiDARモジュールはiPhone 15シリーズでは完全に修理不可能となっており、新しいものに交換するとカメラアプリがクラッシュしていました。
なお、iFixitはiPhone 16シリーズが修理しやすい方向に設計をシフトしており、前面パネルを取り外さなくても多くのコンポーネントを修理・交換できるように設計されている点を称賛しています。ただし、内部コンポーネントを固定するネジがそれぞれサイズや規格の異なるものを採用している点は、修理容易性を下げていると指摘。
iFixit独自の修理容易性スコアにおいて、iPhone 16 ProおよびiPhone 16 Pro Maxは10点満点中7点(高いほど修理が容易)を獲得しています。

ジャンルで探す