AppleがiPhoneのバッテリー交換を簡素化するため電気誘導接着剤剥離技術をiPhone 16で導入か、EUの規則準拠が理由
AppleがiPhoneのバッテリー交換を容易にするべく、2024年に登場予定のiPhone 16から「電気誘導接着剤剥離(はくり)」と呼ばれる新技術を導入予定であると報じられています。
Apple Explores Novel Method for Making iPhone Batteries More Replaceable — The Information
https://www.theinformation.com/articles/apple-explores-novel-method-for-making-iphone-batteries-more-replaceable
Report: Apple Planning to Debut New Battery Replacement Method With iPhone 16 - MacRumors
https://www.macrumors.com/2024/06/28/new-battery-replacement-method-with-iphone-16/
iPhones of the future may not glue their batteries shut
https://www.androidauthority.com/future-iphones-may-not-glue-batteries-3455579/
Apple Might Make iPhone Battery Replacement Easier: Report • iPhone in Canada Blog
https://www.iphoneincanada.ca/2024/06/28/apple-easier-iphone-battery-replacement/
EUはスマートフォンメーカーに対して、「2025年までにユーザーが簡単に入手できる工具を使用してスマートフォンのバッテリーを交換できるようにすること」を義務付けるための新しい規制を発表しています。
スマホのバッテリー交換をガラケー並みに簡単にする法案がEUで可決、スマホの使用可能期間延長に期待 - GIGAZINE
The Informationの報道によると、Appleはこの新規制に準拠するべく、電気誘導接着剤剥離技術の採用を検討しているそうです。
記事作成時点でのiPhoneのバッテリーは、筐体に粘着テープを使って固定されています。そのため、バッテリー交換は非常に難しいものとなっており、ピンセットで粘着テープをはがす必要があるものの、作業中にテープが破損した場合は、粘着テープを除去するために加熱したり溶剤を使ったりする必要が出てきます。また、バッテリーを交換する場合は新しいバッテリーを安全に取り付けるために、専用のトレイと機械も必要となるそうです。
一方、Appleが導入を予定している電気誘導接着剤剥離技術は、アルミ箔ではなく金属でバッテリーを包むことで、バッテリーに小さな電気ショックを加えるだけでバッテリーを筐体から取り外すことが可能になるという技術だそうです。情報筋によると、バッテリー交換時にはiPhoneのディスプレイを取り外す必要があるという点は従来通りではあるものの、「バッテリー交換」という作業に絞ればはるかに作業は簡単になる模様。
なお、ドイツの粘着テープメーカーであるtesaが、電気誘導接着剤剥離技術の一種としてオンデマンド剥離ソリューションを開発しており、そのデモンストレーションの様子は以下の通り。
2024年に登場するiPhone 16シリーズの1モデルで電気誘導接着剤剥離技術が採用され、2025年に登場するiPhone 17シリーズではすべてのモデルが電気誘導接着剤剥離技術を採用すると報じられています。なお、Appleは電気誘導接着剤剥離技術を採用したとしても、手順の複雑さと潜在的なリスクを考慮して、バッテリー交換には専門家の支援を求めることをユーザーに推奨すると予想されます。
Appleは、500回のフル充電後にバッテリー容量が最大時の83%を維持し、1000回のフル充電後にバッテリー容量が最大時の80%を維持するなど、自社デバイスが一定の基準を満たしていれば、バッテリー交換を義務付けるEUの新法を免除される可能性があります。ただし、iPhone 15は1000回の充放電時の基準を満たしているものの、500回の充放電時の基準は満たしていません。
なお、AppleがiPhone 16でEUの規制に準拠すべく模索を続けていることは過去にも報じられてきました。Apple関連のリーク情報でおなじみのアナリストのミンチー・クオ氏は、AppleがiPhone 16 Pro Maxのバッテリーケースをステンレス製にすることで、交換をより容易にすると指摘しています。
iPhone 16 Pro Maxのバッテリー容量が従来モデルよりもさらに向上&EUの交換可能性に関する規則に準拠できるステンレス製バッテリーケースが搭載される予定とのウワサ - GIGAZINE
AppleはiPhoneの耐水性および耐久性を高めるために緻密な設計を採用しています。そのため、iPhoneは修理が難しいデバイスとして知られているのですが、近年は「修理する権利」を守るための規制が加速しており、これに伴いAppleはiPhoneの設計変更を迫られています。
07/01 13:00
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