WordPress開発元のAutomatticがWordPress商標の使用停止命令書をWP Engineに送付


WordPressの開発者でAutomatticのCEOでもあるマット・マレンウェッグ氏が、WordPressに特化したホスティングプラットフォーム・WP Engineを「WordPressに巣くう癌(がん)だ」と批判し、WP Engineはマレンウェッグ氏やAutomatticに対して発言の撤回を要求しました。これを受けて、AutomatticはWP Engineに対し、WordPressおよびWooCommerceの商標使用停止命令書を送付したと発表しました。
Open Source, Trademarks, and WP Engine – Automattic
https://automattic.com/2024/09/25/open-source-trademarks-wp-engine/
We’ve sent a cease-and-desist letter to WP Engine for the unauthorized trademark usage of the WordPress and WooCommerce trademarks. They need to stop and make it right.
You can read the full letter here: https://t.co/tRQJPWdqG3— Automattic (@automattic) September 25, 2024
WordPressはオープンソースで開発されるコンテンツ管理システムで、WP EngineはWordPressに最適化したマネージドホスティングサービスとして展開しています。しかし、マレンウェッグ氏は「WP EngineはWordPressエコシステムにほとんど投資していない。さらにWP Engineが提供しているものは本来あるべきWordPressではない」と主張し、「WP EngineはWordPressエコシステムに巣くう癌だ」とまで言い放って批判しました。
AutomatticのCEO兼WordPressの開発者のマット・マレンウェッグ氏がWP Engineを「WordPressの癌(がん)である」と痛烈に批判 - GIGAZINE


例えば、WP EngineではWordPressのリビジョン管理がデフォルトで無効となっており、3つ以上のリビジョン、あるいは60日が経過したリビジョンは自動的に削除される仕様となっています。マレンウェッグ氏は、「WordPressがコンテンツ管理システムである以上、すべてのリビジョンは追跡されるべき」と述べ、WP Engineがコスト削減の都合でWordPressの本来の機能や価値を損ねていると指摘しました。つまり、マレンウェッグ氏は「WP EngineはWordPressのコアとなる機能をオミットしているにもかかわらず、WordPressの提供をうたって利益を得ている」と主張しているわけです。
これに対して、WP Engineは「私たちに対する攻撃は不当で虚偽であり、明らかに私たちのビジネスに損害を与えるために計画されたものです」と述べ、Automatticならびにマレンウェッグ氏に対して発言を撤回するように要求しました。
Since our founding in 2010, WP Engine has been dedicated to advancing the use and WordPress ecosystem which has grown far beyond the core…— WP Engine (@wpengine) September 23, 2024
WP Engineが発言撤回を要求した翌日の2024年9月25日、Automatticは「WP EngineはWordPressとWooCommerceの商標を商用利用して消費者を混乱させ、年間5億ドル(約720億円)の事業を展開しています。Automatticは長年、WP Engineに商標使用の商用ライセンスを許諾し、同社が依存するコアソフトウェアに貢献してもらおうとしてきましたが、WP Engineは提携や貢献を繰り返し拒否してきました」と述べ、9月23日付けで商標使用の停止命令書を送付したことを明らかにしました。
Automatticは停止命令書で、WP Engineに対して「Automatticが所有する商標の無許可使用の即時停止」「無許可使用による利益の会計報告」「知的財産の無許可使用と不公正競争に対する補償金の支払い」「今後の無許可使用の禁止」を要求。さらに、問題が解決されない場合は民事訴訟を提起し、差し止め命令・損害賠償などの請求を検討するとしています。


Automatticは「WP Engineのビジネスモデルは、WordPressとWooCommerceの商標を広範かつ無許可で使用することで成り立っており、消費者にWP EngineがWordPressと同義であると誤解させるようなやり方で商標を使用しています。しかし、『WP EngineがWordPressと同義である』というのは事実ではありません。これは商標権の乱用であり、公正な競争ではありません」とコメント。さらに、「(PDFファイル)WP Engineが商標権を乱用している証拠」を商標の権利書と共に公開しました。
また、WordPress Foundationは商標ポリシーのページを更新し、「『WP』という略語はWordPressの商標には含まれませんが、人を混乱させるような使い方はしないでください。たとえば、『WP EngineはWordPress Engineの略であり、WordPressと正式に関連している』と思っている人が多いようですが、そうではありません。彼らはWordPressで多額の収益を上げているにもかかわらず、WordPress Foundationに一度も寄付したことがありません」というメッセージを追加しています。
Trademark Policy – WordPress Foundation
https://wordpressfoundation.org/trademark-policy/

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