Google広告裁判で元Facebook幹部が「ジェダイ・ブルー契約はGoogleの独占に屈したから」と証言

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by Prachatai
2024年9月9日に始まったアメリカ司法省対Googleの反トラスト法違反訴訟の裁判では、アメリカの大手出版社やマスメディア企業の幹部らが証人として出廷し、Googleがオンライン広告市場で行っている独占行為について証言しています。新しく、Facebook(現Meta)の広告技術部門を率いていた元幹部が、Googleとの間で締結した反競争的な密約は、同社がGoogleの優位性に対抗できないと判断したことによるものだと証言しました。
Even Facebook (META) Couldn’t Compete With Google (GOOGL) - Bloomberg
https://www.bloomberg.com/news/articles/2024-09-13/even-facebook-couldn-t-compete-with-google-ex-ad-chief-says
DOJ vs. Google, Day Five Rewind: Prebid Reality Check, Unfair Rev Share And Jedi Blue (Sorta) | AdExchanger
https://www.adexchanger.com/marketers/doj-vs-google-day-five-rewind-prebid-reality-check-unfair-rev-share-and-jedi-blue-sorta/
裁判5日目の2024年9月13日、2009年から2019年までFacebookの広告技術部門のトップを務めていたブライアン・ボーランド氏が証人台に立ち、Facebookは当初オンライン広告市場でトップを目指していたものの、Googleが広告技術市場を独占しているためとても競争にならないと断念し、Googleと協定を結ぶ運びになったと証言しました。
ボーランド氏の証言で言及された協定とは、GoogleとFacebookが2018年に秘密裏に締結したネットワーク入札契約のことで、Google社内でのコードネームから「ジェダイ・ブルー契約」と呼ばれています。この契約は、FacebookがGoogleの広告取引所(アドエクスチェンジ)を介してウェブ広告やモバイルアプリ広告を入札する際にGoogleがFacebookに対して便宜を図るというものでした。
Googleがインターネット広告市場を独占するための施策「ジェダイ・ブルー」や「Project NERA」の詳細が明らかに - GIGAZINE

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伝えられるところによると、Facebookの広告配信ネットワーク・Facebook Audience Networkに関する2017年7月の社内資料には「我々と、我々が購入したいインプレッションとの間にはGoogleが立ちはだかっている」と記されていたとのこと。
6カ月間におよぶ両社の交渉をとりまとめる立場にあったボーランド氏は、レオニー・ブリンケマ判事に「我々と広告主の間にレイヤーがあることを知ったのは懸念事項でした。Googleの広告取引所は、Googleにいわゆる『ラスト・ルック』と呼ばれる特権を与えており、Googleは広告枠がオークションにかけられた後でそれを購入するかどうかを判断できたのです」と証言しました。
ボーランド氏はこの手法を、Googleが木箱の中からいいリンゴを30個抜き出して傷物や汚れのあるリンゴだけを残すのにたとえて、「後には売れ残りしか残りません」と話しました。

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こうした状況に屈したFacebookがGoogleと締結した契約は、両社の最高レベルで承認され、Facebookのマーク・ザッカーバーグCEOとGoogleのスンダー・ピチャイCEOが自ら署名しました。
法廷に提出された文書には、Googleが「ラスト・ルックの優位性を排除するためにFacebookにワーキングメディアコスト、つまり広告を配信する際の予算の15%を支払うよう求めた」と記されていたとのことです。
2020年に広告技術市場の独占でGoogleを提訴した州司法長官のグループは、オンライン広告市場第1位と第2位の企業の談合が独占禁止法に違反していると主張しましたが、ニューヨークの裁判所は両社が合意に至った経緯に「不可解な点や疑わしい点は何もない」として申し立てを却下しました。また、この取引の調査を行った欧州の独占禁止法当局も、何ら措置を講じることなく2022年3月に調査を打ち切っています。
そして、今回改めて広告技術市場の独占でGoogleを訴えたアメリカ司法省は、ジェダイ・ブルー契約を反競争的な契約と主張するのではなく、むしろMetaのような大企業でさえGoogleの独占に太刀打ちできなかったことを強調する方針に切り替えたと、海外メディアのBloombergは指摘しています。
ジェダイ・ブルー契約を主導したボーランド氏は2020年にFacebookを退社しましたが、その際にFacebookのオンラインディスプレイ広告の伸び悩みについて社内で懸念を表明していたとのこと。その後、2021年に社名をMetaに変更した同社は、ウェブ上でのディスプレイ広告の購入を中止し、モバイル広告に軸足を移しています。

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