スマホの過熱を防ぐ世界初のアクティブ冷却チップ「XMC-2400」が登場、2026年出荷開始予定


近年ではGoogleの「Gemini Nano」やAppleの「Apple Intelligence」など、大規模言語モデルやパーソナルAIをスマートフォンに統合する動きが強まっており、これに伴ってデバイスの優れた冷却技術に対する需要も高まっています。アメリカの半導体開発企業のxMEMSが、スマートフォンやタブレットなどのデバイスに搭載可能な冷却チップを開発しました。
xMEMS | Active Micro Cooling | XMC-2400
https://xmems.com/products/microcooling/


xMEMS XMC-2400: The World’s First 1mm-Thin Active Micro Cooling Fan on a Chip - YouTube

1st-of-its-kind 'cooling chip' could prevent AI smartphones from overheating — with 1st devices launching in 2026 | Live Science
https://www.livescience.com/technology/electronics/1st-of-its-kind-cooling-chip-could-prevent-ai-smartphones-from-overheating-with-1st-devices-launching-in-2026
多くのスマートフォンはノートPCなどのデバイスと異なり、ファンのようなアクティブ冷却システムを使用せず、ヒートシンクからの熱の放散を使ったパッシブ冷却システムに頼っています。実際にSamsungのGalaxy S24では「ベイパーチャンバー」と呼ばれる技術を導入しているほか、iPhone 15 Proでは大型のヒートスプレッダーを用いて熱問題に対処しています。
また、近年のスマートフォンは多数のプロセッサコアやオンボードメモリを搭載することで、AIの統合のほか、負荷のかかる3Dゲームのプレイや動画編集、5Gネットワークの使用などが可能になっています。しかし、スマートフォンは高性能化の一方で、ある一定の温度に達すると機能を制限する「スロットリング」が発生しやすくなっているとのこと。そこで科学者たちはスマートフォンの冷却システムを「パッシブ」ではなくより強力な冷却が可能な「アクティブ冷却システム」技術の開発を進めていました。
今回xMEMSが開発した「XMC-2400」チップの厚さはわずか1mmで、スマートフォンやタブレットなどのデバイスへの搭載が可能です。xMEMSによると、XMC-2400の側面または天面には通気口があり、最小限の電力を用いて毎秒39立方センチメートルの空気を入れ換えることが可能とのこと。また、従来のファンとは異なり、電力が加わると材料が体積を変化させる「圧電効果」を利用した「圧電MEMSトランスデューサ」を用いているのが特徴です。圧電MEMSトランスデューサが超音波周波数で振動することで空気パルスを生成し、気流を作り出すことが可能です。


XMC-2400には側面に通気口を備えた「XMC-2400-S "Side Venting"」と天面に通気口がある「XMC-2400 "Top Venting"」の2種類が存在します。「XMC-2400-S "Side Venting"」ではパッシブ冷却システムで放出された熱を取り込んで外部へと放出します。一方「XMC-2400 "Top Venting"」は本体のスリットから空気を吸い込み、プロセッサやメモリなど発熱する部品に直接冷たい風を吹き付けて冷却するそうです。


xMEMSは「XMC-2400を搭載することで、コアコンポーネントでのスロットリングの発生確率が減少し、スマートフォンの表面温度が低下してアプリのパフォーマンスが向上するでしょう」と述べています。


xMEMSのジョセフ・ジャンCEOは「当社の革新的なXMC-2400は、モバイルコンピューティングにおける重要な時期に登場します。プロセッサを集中的に使用するAIアプリケーションの統合が進む近年のデバイスでは熱管理がメーカーと消費者にとっての大きな課題でした。近年のデバイスは非常に小さくて薄いため、XMC-2400がリリースされるまで、スマートフォンやタブレット向けのアクティブ冷却ソリューションは開発されていませんでした」と語りました。
なお、xMEMSによるとXMC-2400は2025年初頭にスマートフォンメーカーへのサンプル出荷が開始され、市販のスマートフォンへの搭載は2026年になるとのことです。

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