Qualcommに続いてMediaTekがArmベースのWindows向けSoCを開発中との報道


MediaTekはスマートフォン向けSoC業界でQualcommに次ぐ知名度を誇る企業で、スマートフォン向けSoC以外にChromebookやスマートTV向けのチップなども開発しています。そんなMediaTekが、Windows PC向けのSoCを開発していると、ロイターが報じました。
Exclusive: MediaTek designs Arm-based chip for Microsoft's AI laptops, say sources | Reuters
https://www.reuters.com/technology/mediatek-designs-arm-based-chip-microsofts-ai-laptops-say-sources-2024-06-11/
Microsoftは、2024年5月20日にAIをローカルで実行できるPC規格「Copilot+ PC」を発表しました。同時に、MicrosoftはCopilot+ PCの初期製品群として「第11世代Surface Pro」と「第7世代Surface Laptop」のほかにAcer・ASUS・Dell・HP・Lenovo・SamsungといったメーカーのPCが登場することを告知。さらに、これらのCopilot+ PC初期製品群にQualcomm製のArmプロセッサ搭載SoC「Snapdragon X」シリーズが搭載されることも明らかになっています。
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ロイターが関係者から得た情報によると、QualcommはMicrosoftと「2024年までWindows PC向けのArmプロセッサ搭載SoCを独占的に開発する」という契約を結んでいるとのこと。裏を返せば、2025年以降はQualcomm以外のメーカーからもWindows PC向けのArmプロセッサ搭載SoCが登場する可能性があるということです。また、Armのレネ・ハースCEOも2024年6月に「Qualcomm以外のメーカーからもArmプロセッサを採用したWindows向けSoCが登場する」と発言しており、MediaTekなどの半導体メーカーからWindows PC向けSoCが登場する可能性が濃厚となっていました。
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そんな中、ロイターは2024年6月12日に「MediaTekがWindows PC向けのArmベースチップを開発しているという情報を得た」と報じました。報道によると、MediaTekのWindows PC向けSoCは設計中の段階で、製造開始までに1年以上を要するとのこと。
また、ロイターは2023年に「NVIDIAやAMDがArmベースのWindows向けチップを開発中」と報じていましたが、このうちNVIDIAのチップ開発はMediaTekと共同で行われているとのこと。ただし、ロイターに情報を提供した関係者のうち2人は「MediaTekによるWindows PC向けのSoC開発はNVIDIAの計画とは無関係」と証言したそうです。
なお、Qualcommは2021年にCPU開発企業のNuviaを買収していたのですが、Armは「Qualcommは、NuviaとArmのライセンス提携のもとで開発された設計を破棄するべき」と主張してQualcommに対して訴訟を起こしています。この訴訟に関連してArmは「QualcommのWindows向けSoCにも、Nuviaの技術が使われている」と主張しており、訴訟の行方によってはQualcommのWindows向けSoCの雲行きが怪しくなると指摘されています。

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