連邦取引委員会が偽レビューや偽推薦文を禁止する最終規則を発表、違反すると最大で罰金760万円


製品を購入・使用してないのに使ったかのように偽って書かれるレビューや、無関係な著名人の名前を用いた偽の推薦文などを禁止するという最終規則を、アメリカの連邦取引委員会(FTC)が発表しました。規則は官報掲載日から60日後に発効し、違反者には民事罰が与えられます。罰金は違反1件につき最大5万1744ドル(約762万円)だとのことです。
Federal Trade Commission Announces Final Rule Banning Fake Reviews and Testimonials | Federal Trade Commission
https://www.ftc.gov/news-events/news/press-releases/2024/08/federal-trade-commission-announces-final-rule-banning-fake-reviews-testimonials


偽のレビューや偽の推薦文はここ数年、公正な市場を脅かすものとして問題視されており、FTCは2022年11月に規則策定の方針を決定。2023年6月に規則案を公開しました。
インターネット上のレビュー正常化に向け規制当局が偽レビュー1件につき最大720万円の罰金を科す規則を提案 - GIGAZINE


最終規則では具体的に以下の6つが禁止されます。
・偽やウソのカスタマーレビュー、消費者推薦文、著名人推薦文
サービスや製品を体験したことのない人によるレビュー、AIが生成した偽のレビューや、実在する人物を装って書かれた推薦文などは禁止となります。また、レビューや推薦文が偽物であることを知りつつ購入・入手・拡散することも禁止されます。
たとえば、2023年に作成・拡散された、俳優のトム・ハンクス氏の姿を用いたAI生成の歯科保険のCMは規則に抵触します。
トム・ハンクスが自分出演の歯科保険のCMを見て「これはAIだ」と指摘 - GIGAZINE


・肯定的&否定的レビューの購入
肯定的または否定的な感情を示すカスタマーレビューの書き込みに対して、報酬を提示したりインセンティブを与えることは禁止されます。
・内部関係者によるレビューと推薦文
企業の内部関係者が書いたレビューや推薦文のうち、その関係者と企業との関係を明らかにしないものは禁止されます。また、役員や管理職によるレビュー・推薦文も禁止となります。このほか、役員や管理職が近親者にレビューを求めたり、従業員に対して近親者にレビューを書いてもらうよう指示したりして、実際にレビューが掲載された場合にも罰則が適用されます。
・企業が管理するレビューサイト
企業が管理するウェブサイトや団体が、自社製品・サービスについて「独立したレビュー・意見を提供している」と偽って表示することが禁止されます。
・レビューの抑制
企業が根拠のない法的・物理的な脅迫や、虚偽の告発によって、消費者の否定的なレビューを削除させようとすることは禁止です。また、企業がウェブサイトにレビューを掲載している場合に、ネガティブなレビューを表示しないようにしているにもかかわらず「すべて、またはほとんどのレビューを表示している」と偽ることも禁止されます。
・偽のSNS指標の悪用
ボットや乗っ取られたアカウントによって生成されたフォロワーやビュー数など、偽の「SNSの影響力指標」の販売・購入は禁止されます。なお、この項目は、指標が偽物であることを購入者が知っており、影響力や重要性を偽っていると知っていた場合に限られるとのこと。
FTCのリナ・M・カーン議長は「偽のレビューは人々の時間とお金を浪費するだけでなく、市場を汚染し、誠実な競争相手からビジネスを遠ざけてしまいます」「今回の最終規則はアメリカ人をだまされることから守り、違法にシステムを利用する企業に注意を促し、公正で誠実で競争力のある市場を促進します」と語りました。

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