実験と論文執筆だけでなく査読まですべてAIが行う「AIサイエンティスト」を日本のAI企業「Sakana AI」がリリース
東京を拠点とするAI企業「Sakana AI」がオックスフォード大学とブリティッシュ・コロンビア大学との共同研究で、大規模言語モデル(LLM)を使って研究開発プロセスそのものを自動化する技術「AIサイエンティスト」を開発したと発表しました。
[2408.06292] The AI Scientist: Towards Fully Automated Open-Ended Scientific Discovery
https://arxiv.org/abs/2408.06292
「AIサイエンティスト」: AIが自ら研究する時代へ
https://sakana.ai/ai-scientist-jp/
GitHub - SakanaAI/AI-Scientist: The AI Scientist: Towards Fully Automated Open-Ended Scientific Discovery ????????
https://github.com/SakanaAI/AI-Scientist
AIサイエンティストは、アイデア創出、実験の実行と結果の要約、論文の執筆及び査読といった科学研究のサイクルを自動的に遂行する新たなAIシステムです。
AIサイエンティストの作業は研究の方向性についての「ブレインストーミング」からスタートし、探求してもらいたい既存のトピックの開始コードとなる「テンプレート」を提供することで、研究の方向性を自由に探求します。同時に、学術文献を検索し、ブレインストーミングで得たアイデアが既存のものでないかを確認するとのこと。
アイデアとテンプレートが与えられると、提案された実験を実行し、その結果を視覚化するプロットを取得して作成し、保存された図と実験メモなどの論文作成に必要な情報を用意します。
そして、標準的な機械学習会議のスタイルに基づき、学術文献を検索し、引用すべき関連論文を自律的に見つけながら、論文を執筆します。
さらに、生成された論文を人間に近い精度で査読・評価ができる「LLMを用いた自動レビュアー」が存在するというのが、AIサイエンティストの大きな特徴。つまり、論文執筆を担当するLLMとは別に、査読者役のLLMが生成された原稿を批評し、フィードバックを提供して研究を改善する仕組みになっているというわけです。
Sakana AIは「AIの大きな進歩のたびに、AI分野の研究者たちは『あとはAIに論文を書かせる方法を見つけるだけだ!』と冗談を言い合うのが常でした。我々の研究は、かつてジョークだったものが今、現実的なものとなったことを示しています」と述べています。
実際にAIサイエンティストが執筆した論文は以下から読むことができます。Sakana AIによると、AIサイエンティストによる論文執筆のコストは論文1本当たり約15ドル(約2200円)だったそうです。
DUALSCALE DIFFUSION: ADAPTIVE FEATURE BALANCING FOR LOW-DIMENSIONAL GENERATIVE MODELS
(PDFファイル)https://sakana.ai/assets/ai-scientist/adaptive_dual_scale_denoising.pdf
Sakana AIは「日本ではAI研究に携わる人材の不足が指摘されてきました。AIサイエンティストを活用すれば同じ人員で生産性を何百倍にも高められる可能性があります。AIサイエンティストの誕生は、人材不足が指摘されてきた日本のAI研究の競争力強化につながると確信しています。Sakana AIはAIサイエンティストの普及を通じ、日本の研究開発促進に貢献したいと考えています」とコメントしました。
なお、AIサイエンティストのソースコードはオープンソース化され、GitHubに公開されています。
GitHub - SakanaAI/AI-Scientist: The AI Scientist: Towards Fully Automated Open-Ended Scientific Discovery 🧑🔬
https://github.com/SakanaAI/AI-Scientist
08/14 12:16
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