ディズニーがストリーミングサービスの値上げは「当然」と語る
ディズニーの映像ストリーミングサービスであるDisney+は広告ありの新プランを導入したり、値上げしたりアカウント共有を取り締まったりすることで、収益増加を図っています。そんなディズニーの最高財務責任者(CFO)が、ストリーミングサービスの値上げについて「当然」と語りました。
Disney has “earned” latest streaming price hike, CFO says | Ars Technica
https://arstechnica.com/gadgets/2024/08/disney-has-earned-latest-streaming-price-hike-cfo-says/
Walt Disney (DIS) Q3 2024 Earnings Call Transcript | The Motley Fool
https://www.fool.com/earnings/call-transcripts/2024/08/07/walt-disney-dis-q3-2024-earnings-call-transcript/
Disney+は2022年12月に広告付きの新プランを発表すると同時に、従来プランの値上げを発表。その後、2023年8月にも値上げを実施していました。
さらに、ディズニーは現地時間の2024年8月7日にDisney+、Hulu、ESPN+といったストリーミングサービスのさらなる値上げを実施すると発表。今回の値上げにより、プランによっては最大25%の値上げが実施されることとなります。各サービスの記事作成時点での料金と、2024年10月17日以降の新料金は以下の通り。
・広告付きDisney:月額8ドル(約1170円)→10ドル(約1460円)
・広告なしDisney:月額14ドル(約2040円)→16ドル(約2330円)
・広告付きHulu:月額8ドル→10ドル
・広告なしHulu:月額18ドル(約2620円)→19ドル(約2780円)
・ESPN+:月額11ドル(約1610)→月額12ドル(約1750円)
ディズニーはストリーミング事業が初めて黒字になったことも発表しています。ディズニーの2024年第3四半期(4~6月)の決算報告によると、ストリーミング事業の営業利益は4700万ドル(68億7000万円)でした。前年同期にディズニーのストリーミング事業は5億1200万ドル(約748億円)の損失を計上しています。
黒字化したにもかかわらずさらなる値上げを実施する理由について、ディズニーのヒュー・ジョンストンCFOは「我々は市場で新しい価格設定(値上げ)をしても問題ない地位を確立したと感じています。それに伴い、規模のメリットも生まれます。製品の改善により、顧客離れも減り、選択肢を検討している消費者を当社に引き留められるはずです」と語り、新しい価格設定に見合ったストリーミングサービスを提供しているとしました。
なお、ディズニーは記事作成時点でストリーミング事業の収益性に満足しておらず、同事業の利益率をすぐに2桁にまで伸ばすことを投資家に約束しています。海外メディアのArs Technicaは「広い視点で見ると、ディズニーはテレビ業界の衰退や、テーマパークなど他の古い事業分野への圧力の中で、企業の成功を維持しなければいけないという課題にも直面しています」と述べ、ストリーミング事業をその原動力としなければいけないと指摘しています。
ストリーミングサービスが直面している最大のビジネス課題のひとつはユーザーの高い解約率です。ストリーミングサービスで度重なる値上げが実施されているため、「好みのコンテンツを視聴したあとに、サービスが新しいコンテンツを追加するまで解約する」といった使い方をするユーザーが増えているというわけ。
しかし、ディズニーのボブ・アイガーCEOは新しいライブチャンネルの設立や映画コンテンツの拡充などにより、「ストリーミングサービスの価格決定力を高めた」と言及。加えて、近年のストリーミングサービスにおける値上げに対する顧客の反発について、「心配していません。目標はプラットフォームでのエンゲージメントを高めることです。つまり、より幅広い種類の番組を提供するということです」「当社が値上げすることで起きる解約件数はわずかで、重大なものとは考えられない」と語りました。
加えて、アイガーCEOは2024年6月から行っているアカウント共有の取り締まりについて、「大きな反発は見られなかった」と主張しています。
Disney+もアカウント共有の取り締まりを開始へ - GIGAZINE
08/08 10:58
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